評論文対策問題 064(本文1000字・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
「それは間違っている」「こうすべきだ」と言うとき、私たちは往々にして「正しさ」を根拠にしている。
正しさは、ある意味で強い。
道徳やルール、事実や理屈に裏打ちされた正しさは、人を納得させたり、行動を変えさせたりする力をもっている。
しかし、その正しさが「他者を黙らせる武器」になったとき、対話は止まり、関係は断絶される。
どれほど理屈として正しくても、それが「自分の正しさを証明すること」ばかりに使われれば、相手は防御に回り、互いの理解は進まない。
また、正しさは時代や立場によって変化する。
昨日までは「当たり前」だったことが、今日は「不適切」とされることもある。
だからこそ、「自分の正しさ」が本当に人を救うのか、それともただ自分の安心や優位性のためなのかを、問い直すことが必要になる。
大切なのは、正しさそのものではなく、「その正しさをどう使うか」なのだ。
相手を打ち負かすためではなく、共に考えるために正しさを使う。
そのとき初めて、正しさは「対立の道具」ではなく、「つながるための橋」として働くのではないだろうか。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 正しさは絶対的な基準であり、それに従うことが共存の条件である。
- 正しいことを主張し続けることが、対話を深める唯一の手段である。
- 正しさを手放すことこそが、真の理解に至る道である。
- 他人を正すことで、自己の誠実さを示すことができる。
- 正しさは、人に影響を与えるための最も効率的な道具である。
- 正しさに固執せず、その使い方を自問することが対話の鍵となる。
- 正しさが変わることはないため、一貫して守るべきである。
- 自分の正しさを証明することが、意見の対立を解決する近道である。
- 正しさは誤解を生みやすいため、できるだけ主張しない方がよい。
- 正しさを批判することは、社会秩序を揺るがす危険を孕む。
【正解と解説】
正解:6
- 選択肢1:× 正しさは「変化する」ものであり、絶対視されていない。
- 選択肢2:× 対話が止まり、理解が進まないと指摘されている。
- 選択肢3:× 正しさの「使い方」に焦点があり、放棄を推奨してはいない。
- 選択肢4:× 誠実さよりも優位性を生み、関係を断絶する危険が述べられている。
- 選択肢5:× 効率的な道具としてではなく、使い方次第で逆効果になるとされている。
- 選択肢6:◎ 「どう使うか」「問い直すこと」「橋として働く」などと一致。
- 選択肢7:× 正しさは「時代や立場で変わる」とされている。
- 選択肢8:× 証明ではなく、「共に考えること」が目指されている。
- 選択肢9:× 主張しないのではなく、「どう主張するか」が問われている。
- 選択肢10:× 正しさの批判が「秩序を揺るがす」とは述べられていない。
語句説明:
根拠:ある主張や行動を正当化するための理由や証拠。
【本文の英訳】
“You're wrong,” “You should do this”—we often speak from a place of being “right.” But being right isn’t always helpful. If we use it to silence others or win arguments, we break connections. Rightness changes with time and context. What matters is how we use our sense of rightness: to invite reflection, not to dominate. Used wisely, rightness can build bridges—not walls.