評論文対策問題 009(選択肢10個+高精度フェイク)
本文(抜粋)
歴史とは、過去の出来事を単に記録するものではない。
それは常に現在の視点から読み直され、意味づけられる営みである。
ある出来事が「英雄的」と語られるか「悲劇的」と語られるかは、語る人の立場や時代の価値観に依存する。
私たちは歴史を「固定された事実」として受け取るのではなく、それをどう語るか、どんな意図で編まれているかを批判的に読む姿勢が求められている。
【問題】
筆者の歴史観に最も合致するものを選べ。
- 歴史は、客観的な事実だけを記録する学問である。
- 歴史を語る際は、感情や立場を排して中立であるべきだ。
- 歴史的事実は不変であり、その解釈に多様性はない。
- 歴史は人類の普遍的進歩を証明するものである。
- 歴史を語る立場によって、出来事の意味は変わる。
- 過去はすでに終わったことであり、現代に影響を与えることはない。
- 歴史には誤解が多いため、すべての記述を疑うべきである。
- 歴史はあくまで英雄や為政者によって形作られてきた物語である。
- 歴史とは、事実を固定的に保存するための手段である。
- 歴史を批判的に読むことが、現在を理解する助けとなる。
【正解と解説】
正解:10
- 選択肢1:× 歴史を「単なる記録」として捉える立場は否定されている。
- 選択肢2:× 「語る人の立場に依存する」と明記されており、中立神話を批判している。
- 選択肢3:× 解釈の多様性があることを本文は強調している。
- 選択肢4:× 「進歩史観」は本文と無関係、むしろ価値観の相対性を主張。
- 選択肢5:△ 「立場によって意味が変わる」は正しいが、それだけでは本文の「批判的に読む」点が抜けている。
- 選択肢6:× 「現代に影響しない」とは本文と真逆。
- 選択肢7:× 全否定ではなく「批判的に読む」が重要。懐疑主義とは異なる。
- 選択肢8:× 「為政者中心史観」は本文の相対主義と相容れない。
- 選択肢9:× 「固定的に保存」ではなく、「意味づけの営み」と明記されている。
- 選択肢10:◎ 「批判的に読む姿勢」「現在との関係」など本文の主眼と完全一致。
選択肢を見抜くテクニック:
- 単なる事実 or 価値判断を見極める(本文は「意味づけ」重視)
- 本文後半の主張(批判的に読む)が含まれているかを確認
- 正解は「中立的な言い回し」+「本文の核」を含んでいる
語句説明:
批判的に読む:ただ受け入れるのではなく、前提や意図・立場を疑いながら読み解く態度。