評論文対策問題 010(選択肢10個+高精度フェイク)
本文(抜粋)
私たちは言語によって世界を把握しているが、それは同時に、言語という枠組みによって世界の見方を制限されていることでもある。
言葉は意味を伝える手段であると同時に、思考の形そのものを形作っている。
したがって、異なる言語体系を持つ人々が、世界を異なる方法で理解しているのは当然とも言える。
言語の構造が思考に影響を与えるという認識は、異文化理解や翻訳のあり方にも深く関わってくる。
【問題】
筆者の言語観として最も適切なものを選べ。
- 言語は思考の内容を表現する単なる器である。
- 言語が異なっても、人は同じように世界を理解している。
- 世界の見え方は、使用する言語によって左右される。
- 言語が違っても、思考の構造は普遍的である。
- 翻訳とは、言葉を一対一で正確に置き換える作業である。
- 言語は思考を助けるが、その内容には関与しない。
- 言語は情報の伝達には役立つが、認識には関係しない。
- 異なる言語体系は、異なる認識体系を生み出す。
- 言語はあくまで文化とは無関係の論理的構造体である。
- 世界の多様性は、言語の違いによってしか説明できない。
【正解と解説】
正解:8
- 選択肢1:× 本文では「言語が思考を形作る」と述べており、器ではない。
- 選択肢2:× 世界の理解が「異なる」と本文で強調されている。
- 選択肢3:△ かなり近いが、「世界の見え方」だけでは本文の「思考への影響」「翻訳」には届かない。
- 選択肢4:× 本文は「異なる方法で理解」と明言しており、思考の普遍性を否定している。
- 選択肢5:× 翻訳は「一対一の置き換え」とは限らず、構造や意味の違いを意識する必要がある。
- 選択肢6:× 本文は「言語が思考を形作る」と明言しており、内容に関与する。
- 選択肢7:× 「認識には関係しない」は本文と真逆。
- 選択肢8:◎ 「異なる言語体系 → 異なる認識体系」は本文の主張と完全一致。
- 選択肢9:× 言語が文化と無関係とは本文にないし、むしろ逆の立場。
- 選択肢10:△ 惜しいが「しか説明できない」という極端な断定は本文の主張を超えている。
選択肢を見抜くテクニック:
- 本文にある2段階の主張(思考の構造・異文化理解)が反映されているか
- 一見正しそうな表現でも、範囲の狭さ・断定の強さを疑う
語句説明:
言語体系:ある言語が持つ文法・語彙・表現のルールのまとまり。思考や文化にも影響を与える枠組み。