評論文対策問題 006(選択肢10個)
本文(抜粋)
現代社会において、「自分らしさ」が重視される一方で、その「らしさ」が他者との比較やSNSでの承認に左右されている現状がある。
他者からどう見られるかを意識しすぎることで、本来の自分の感情や欲求が見えにくくなってしまう。
本当の意味での「自分らしさ」とは、他者からの視線を一度切り離したうえで、自分の内側から湧き出るものに気づき、育てていく営みである。
【問題】
筆者の考える「自分らしさ」の本質に最も合致するものを、次の中から1つ選べ。
- 他者からの評価によって磨かれていく個性。
- 社会的な役割の中で自然と形成される自分像。
- 自己表現を通じて得られる社会的承認の積み重ね。
- 他者と比較して自分の立ち位置を明確にすること。
- 他者の期待に応えることで形成される人格。
- 自分の感情や欲求を意識的に掘り下げる行為。
- SNSなどを通じて自分の存在感を確立する営み。
- 周囲からの視線を前提とした自己理解のプロセス。
- 孤独の中で確立される、誰にも影響されない存在。
- 他者の視線を離れて、自らの内面を育てること。
【正解と解説】
正解:10
- 選択肢1:× 「他者からの評価に左右されている現状」を筆者は問題視している。
- 選択肢2:× 社会的役割に流されることと「自分らしさ」の本質は異なる。
- 選択肢3:× 社会的承認は筆者が警戒している外部要因のひとつ。
- 選択肢4:× 「比較によって揺れる自分」を本文では否定的に描いている。
- 選択肢5:× 他者の期待への迎合は「本当の自分らしさ」とは対立する。
- 選択肢6:△ 惜しいが、「掘り下げる」だけでは不十分。育てる視点が抜けている。
- 選択肢7:× SNSによる存在感はむしろ「他者視線」に依存している。
- 選択肢8:× 「前提とする」視線は筆者の主張に反する。
- 選択肢9:× 「誰にも影響されない」は極論すぎる。筆者は「切り離したうえで育てる」としている。
- 選択肢10:◎ 「他者の視線を離れて」「内面を育てる」という両方の要素を満たしており、本文の要点と一致。
選択肢を見抜くテクニック:
- 本文の定義文(〜とは、〜である)を正確に言い換えているか
- 似たような言葉(自己表現/存在感/期待)に惑わされない
- 正解は「やや地味」だが一番忠実な言い換えを狙う
語句説明:
承認:他者に自分の存在や考え方を認めてもらうこと。SNS時代では過度な承認欲求が問題になることもある。