評論文対策問題 049(本文2倍・選択肢10個+英訳)

本文(抜粋)

私たちは、物事を理解するときにしばしば境界を引く。
境界とは、「ここまでがA、そこから先がB」と分けることだ。
この区分は、世界を整理し、秩序をつくるうえで非常に有効である。
しかし一方で、「分けること」は、切り捨てや排除の契機にもなりうる。
境界は、相手を「こちら側ではない」と定義する装置でもあるからだ。
だが境界にはもう一つの側面がある。
それは、「違い」を生むことで、新たな対話や創造を可能にするという側面である。
芸術におけるジャンルの違いや、文化の多様性も、「異なるものの出会い」によって生まれる魅力の一例だろう。
問題は、境界を固定しすぎてしまうことにある。
境界があること自体が問題なのではなく、それをどう使うか、どう越えていくかという姿勢が問われているのである。

【問題】

筆者の主張に最も合致するものを選べ。

  1. 境界を設けることは誤解の原因となるため、極力避けるべきである。
  2. 一度引いた境界は社会秩序の維持のために厳密に守られるべきである。
  3. 境界をなくすことで、世界はより平等で自由になる。
  4. 境界を持つことは分断を招くだけで、創造性とは無縁である。
  5. 境界は人間の活動において本質的に不必要なものである。
  6. 境界を活用しつつ、それを乗り越える視点が重要である。
  7. 境界を強調することは、常に排他的な態度につながる。
  8. 境界があるからこそ、異なるもの同士の関係が生まれる。
  9. 境界があることで、相手との関係性を築くのは不可能になる。
  10. 一貫した境界意識こそが、個人のアイデンティティを守る。
【正解と解説】

正解:6(と8)

語句説明:
契機:何かが始まるきっかけ・原因となる出来事や要素。

レベル:共通テスト対策(長文+英訳)|更新:2025-07-23|問題番号:049


【本文の英訳】

When we understand things, we often draw boundaries—this is A, that is B. Boundaries help us organize the world and maintain order. But they can also exclude and define others as “not one of us.” At the same time, boundaries enable difference—and with difference comes new dialogue and creation. Art genres and cultural diversity thrive on such interactions. The problem lies in fixing boundaries too rigidly. Boundaries themselves are not the issue—it’s how we use and cross them that matters.