評論文対策問題 048(本文2倍・選択肢10個+英訳)

本文(抜粋)

会議や討論の場で、「意見はありますか?」と問われたとき、沈黙が返ってくることは少なくない。
多くの場合、その沈黙は「意見がない」「同意している」と解釈される。
しかし本当にそうだろうか。
言葉にしないという選択にも、意志や判断は含まれている。
沈黙は、「語るほどの信頼がない」「反対しても意味がない」「言葉にすると誤解される」といった背景を持つことがある。
つまり、沈黙は必ずしも中立的ではなく、ある種のメッセージとして機能する。
特に、日本語のコミュニケーションにおいては、「言わないこと」に多くの意味が込められることがある。
それゆえ、沈黙を「空白」ではなく「発言の一形態」として捉え直す必要がある。
合意形成においても、「誰も反対しなかった」から決まったのではなく、「なぜ誰も語らなかったのか」を問う視点が不可欠なのだ。

【問題】

筆者の主張に最も合致するものを選べ。

  1. 沈黙は消極性の表れであり、会話の妨げになる。
  2. 沈黙は中立で無意味な空白である。
  3. 沈黙が多い場では、合意形成は成立しない。
  4. 沈黙は発言の拒否であり、無責任な態度の証である。
  5. 沈黙は感情を表さないため、判断材料にすべきではない。
  6. 沈黙を一つの意見表明として捉える視点が必要である。
  7. 会話においては、明確な言葉のみが信頼できる情報である。
  8. 沈黙は相手への非難として扱うべきである。
  9. 沈黙は多くの文化で通用せず、誤解を招くだけである。
  10. 沈黙は必ずしも意味を持たないため、無視してよい。
【正解と解説】

正解:6

語句説明:
合意形成:複数の立場や意見の中から、納得できる合意点を見出す社会的プロセス。

レベル:共通テスト対策(長文+英訳)|更新:2025-07-23|問題番号:048


【本文の英訳】

In meetings or discussions, silence often follows the question, “Any thoughts?” This silence is usually interpreted as agreement or indifference. But silence may carry meaning: distrust, resignation, or fear of being misunderstood. In this sense, silence is not neutral—it can function as a form of expression. Particularly in Japanese communication, “not saying” something can speak volumes. Therefore, we must stop seeing silence as a blank space and start recognizing it as a type of speech. Even in consensus-building, it is not enough to say “no one objected.” We must ask why no one spoke—and what that silence might have meant.