評論文対策問題 045(本文2倍・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
考えを整理したいとき、誰かに話すよりも「書く」方が有効だと感じることがある。
書くことで、自分の思考が目に見える形となり、それを読み返すことで距離を取って眺めることができるからだ。
書くとは、自分自身との対話であり、思考に「かたち」を与える行為でもある。
頭の中にある漠然とした感情やアイデアも、文字にすることで初めて輪郭が現れ、他者に伝えたり、自分で理解したりできるようになる。
書いてみて初めて、「自分はこんなふうに考えていたのか」と驚くことすらある。
つまり、書くことは単に伝える手段ではなく、思考そのものを深めるプロセスなのだ。
特に現代のように情報が過剰に飛び交う社会では、自分の内側にあるものを言葉で明確にしておくことが、流されずに在るために重要になる。
書くことを通して、私たちは「何を感じているのか」「何を信じているのか」を自分自身に問い返すことができる。
それは、他者と対話する以前に、自分と向き合うための行為なのである。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 考えを整理するには、話すことの方が本質的である。
- 書くことは情報発信の手段に過ぎず、思考とは関係ない。
- 書くことは頭の中にある明確な答えを、迅速に記録する行為である。
- 文章にしても、感情や思考は正確に表現できないため無意味である。
- 書く行為は情報社会において重要性を失いつつある。
- 書くことで、自分の内面にある思考や感情を可視化できる。
- 他者に伝えることを目的としない文章は、書く意味がない。
- 感情は書かずに内に秘めておくべきであり、文字化は危険である。
- 思考は書くよりも会話によってのみ深まる。
- 自分との対話は無意味であり、他者からの評価が重要である。
【正解と解説】
正解:6
- 選択肢1:× 話すよりも「書く」方が有効な場合があると冒頭で述べられている。
- 選択肢2:× 書くことは「思考を深める行為」と本文に明記されている。
- 選択肢3:× 曖昧な感情や思考を「書くことで輪郭づける」点が本文の焦点。
- 選択肢4:× 書くことで初めて思考や感情が形になるとされる。
- 選択肢5:× 情報があふれる現代でこそ、「書くこと」が重要になると述べられている。
- 選択肢6:◎ 「書いて初めて気づく」「思考を可視化」「自分との対話」=本文と一致。
- 選択肢7:× 他者に伝えること以上に「自分に問い返す」ことが重視されている。
- 選択肢8:× 「内に秘める」ことよりも、「書くことで向き合う」ことが重要とされている。
- 選択肢9:× 書くことで思考が深まると主張されている。
- 選択肢10:× 自分との対話が「出発点」とされている。
語句説明:
可視化:目に見える形にすること。抽象的な思考や感情を文章として表現すること。
【本文の英訳】
Sometimes, writing can be more effective than speaking when we want to organize our thoughts. Writing turns our thinking into something visible, allowing us to step back and reflect on it. It’s a form of dialogue with oneself—a way to give shape to otherwise vague feelings and ideas. When we write, we may find the true outlines of our emotions or realize thoughts we hadn’t fully grasped. Writing isn’t just for communication—it deepens our thinking. In an age of overwhelming information, being able to articulate what’s inside us helps keep us grounded. Through writing, we can ask ourselves: What do I feel? What do I believe? Before speaking to others, writing offers a way to face ourselves first.