評論文対策問題 043(本文2倍・選択肢10個+英訳)

本文(抜粋)

「普通はこうだよね」という言葉は、日常の会話でよく使われる。
そこには、「安心」や「共通理解」を求める気持ちが込められていることが多い。
しかし同時に、この「普通」という言葉は、何かを無自覚に線引きし、「それ以外」を遠ざける働きも持っている。
たとえば、ある食べ物を「普通は嫌いだよね」と言えば、それを好む人は少数派として扱われる。
それが悪意ではなくとも、「違い」を違和感として処理してしまう構造がある。
問題は、「普通」という言葉が前提を問わずに使われることである。
本来、何が「普通」かは、時代や場所、文化や環境によって大きく異なる。
にもかかわらず、それが「当然の感覚」として語られると、多様な在り方が見えづらくなってしまう。
私たちは、「普通」という言葉に安住するのではなく、それを使うときにこそ、自分の立場や文脈を問い直す必要があるのではないだろうか。

【問題】

筆者の主張に最も合致するものを選べ。

  1. 「普通」という言葉は社会の安定を保つうえで不可欠である。
  2. 「普通」は文化に関係なく絶対的に正しい基準である。
  3. 多様性よりも「普通」に従うほうが安心できる社会が生まれる。
  4. 「普通」は中立的な言葉であり、誰を傷つけることもない。
  5. 「普通」であることに反する行為は社会的に不適切である。
  6. 「普通」という言葉の使用には、自覚的な態度が求められる。
  7. 人間関係では、「普通」に合わせることが最も重要である。
  8. どの社会にも「普通」は一つだけ存在する。
  9. 「普通」であることは、人間としての価値を証明する方法である。
  10. 自分が感じる「普通」を他人に強制してはいけない。
【正解と解説】

正解:6(と10)

語句説明:
安住:何かに疑いをもたず、それに甘んじてしまうこと。

レベル:共通テスト対策(長文+英訳)|更新:2025-07-23|問題番号:043


【本文の英訳】

“Normally, people do this”—we hear this phrase often. It often conveys comfort or a sense of shared understanding. However, the word “normal” can also unconsciously draw lines, distancing anything that doesn’t fit. For instance, saying “most people hate that food” may cast those who like it as outsiders. Even without bad intentions, such framing can turn differences into discomfort. The issue is when “normal” is used without questioning its premise. In truth, what’s considered normal varies across time, place, and culture. When it’s treated as a given, alternative ways of being become harder to recognize. Instead of settling into the comfort of “normal,” we should reflect on our own position and the context in which we use that word.