評論文対策問題 042(本文2倍・選択肢10個+英訳)

本文(抜粋)

私たちは、何かを見るとき、それを「ありのまま」に見ていると思いがちだ。
しかし実際には、「見る」という行為には多くの要素が介在している。
たとえば、美術館で一つの絵画を見るとき、作品そのものだけでなく、それを見る自分の立場、知識、経験、さらには周囲の空気までが影響する。
同じ風景であっても、観光客と地元の人では見え方が異なる。
また、何を「見るに値する」と感じるかという判断も、社会や文化に依存している。
このように、「見る」ことは単なる情報受容ではなく、解釈であり、選択でもある。
つまり、私たちはいつも「何かを見ていない」し、「見ているものをどう見るか」も一様ではない。
「見ること」に自覚的になることは、自分の思考や価値観のフィルターに気づくことでもある。
その気づきこそが、他者との視点の違いを理解するための第一歩となるのではないか。

【問題】

筆者の主張に最も合致するものを選べ。

  1. 人は物事を純粋に、ありのままに見ることができる。
  2. 見ることは感覚的な作用であり、思考とは無関係である。
  3. 同じ対象を見ても、感じ方は人によって異なる。
  4. 見るという行為は、誰にとっても普遍的で共通した体験である。
  5. 見ることに意識的になることは、誤解を増やす原因となる。
  6. 私たちは常に正確に現実を見ているわけではない。
  7. 風景や芸術は、誰が見ても同じように解釈されるべきである。
  8. 見るという行為には社会的・文化的背景が影響する。
  9. 視覚的認識は客観的であるため、主観は排除されるべきである。
  10. 自分が見ているものの意味を他人と比較することに意味はない。
【正解と解説】

正解:3(と6, 8)

語句説明:
解釈:外から得た情報を、自分なりの文脈で理解し直すこと。

レベル:共通テスト対策(長文+英訳)|更新:2025-07-23|問題番号:042


【本文の英訳】

We often believe we are seeing things “as they are.” But in reality, the act of seeing involves many layers. When viewing a painting in a museum, for example, it’s not just the artwork we see, but also our knowledge, background, emotions, and even the mood of the space that shape our perception. A tourist and a local may perceive the same landscape differently. Even deciding what is “worth seeing” is shaped by cultural and social norms. Thus, seeing is not just receiving information—it’s also interpretation and selection. We don’t see everything, and what we do see is shaped by how we see it. Becoming aware of how we see reveals the filters of our values and thinking. That awareness can help us understand how others might see things differently.