評論文対策問題 040(本文2倍・選択肢10個+英訳)

本文(抜粋)

「ああ、それ知ってる」と私たちはよく言う。
しかし、その「知っている」はどのような状態を指しているのだろうか。
たとえば、ある言葉の定義を暗記していたり、有名な出来事の概要を聞いたことがある場合でも、それを本当に「理解している」と言えるとは限らない。
「知っている」という感覚は、しばしば「わかったつもり」を生み、そこから先の探究を止めてしまう働きを持つ。
それはまるで、地図を手に入れた瞬間に「その場所に行った気になる」ようなものである。
本当の理解とは、概念や事実を自分なりに噛み砕き、問い直し、他の知識とつなげながら深めていく過程の中にある。
その意味で、「知っているつもり」の状態は、むしろ思考を止める危険な地点であるともいえる。
「知っている」ではなく、「もっと知りたい」と思えるかどうか。
その差が、学びを深めるか、止めてしまうかの分かれ道になる。

【問題】

筆者の主張に最も合致するものを選べ。

  1. 知っているという感覚は、学びの動機を高める有効な手段である。
  2. 知識は記憶に残れば、それだけで理解したと見なせる。
  3. 一度知った内容を何度も調べ直すことは、非効率である。
  4. 知識があると感じることは、思考を進める第一歩である。
  5. 知識を得たつもりになることで、思考はむしろ促進される。
  6. 知っているという感覚は、思考を停止させる要因になりうる。
  7. 知識とは、他者に説明できる程度で十分である。
  8. 本当の理解にこだわるよりも、情報を多く持つことが大事である。
  9. すぐに理解した気になることは、学びの持続にとって好ましい。
  10. 「もっと知りたい」という姿勢こそが、深い理解を生む出発点である。
【正解と解説】

正解:6(と10)

語句説明:
わかったつもり:本質を理解しないまま、理解したと感じてしまう状態。

レベル:共通テスト対策(長文+英訳)|更新:2025-07-23|問題番号:040


【本文の英訳】

We often say, “I know that.” But what exactly does it mean to “know” something? Even if we can recall a definition or have heard about an event, that doesn't necessarily mean we understand it. The feeling of “knowing” can easily become a false sense of understanding, stopping further exploration. It’s like holding a map and feeling as though you’ve already been to the place. True understanding comes from digesting concepts, asking questions, and linking knowledge together. In that sense, thinking we know something may be a dangerous point where our thinking halts. The question is: Can we move from “I know” to “I want to know more”? That shift marks the difference between ending and deepening the learning process.