評論文対策問題 035(本文2倍・選択肢10個+英訳)

本文(抜粋)

笑いとは、しばしば軽いもの、あるいは真面目さの対極にあるものとして捉えられる。
しかし、ユーモアは決して単なる冗談や気晴らしだけではない。
それは、社会の中で微妙な距離感や感情のずれを調整するための機能を持っている。
たとえば、職場で上司が自分のミスをネタにして笑いを誘うことで、場の緊張が和らぎ、部下との関係もやわらかくなる。
また、直接的には言いづらいことを、ユーモアを交えて表現することで、相手に不快感を与えずに問題提起することもできる。
笑いは「言い過ぎずに言う」ための絶妙な手段になりうるのだ。
ただし、それが「嘲笑」や「侮蔑」の形をとったときには、むしろ人間関係を壊すこともある。
したがって、ユーモアの力を活かすには、相手との関係性、文脈、タイミングといった条件への繊細な配慮が必要となる。
笑いは、場を和ませるだけでなく、他者と向き合い、距離を測るための知的な道具でもあるのである。

【問題】

筆者の主張として最も適切なものを選べ。

  1. ユーモアは軽薄な表現であり、深い意味を持たない。
  2. 笑いは場を壊す可能性があるため、対人関係では避けるべきである。
  3. 職場でのミスは真剣に謝罪すべきであり、笑いに変えるのは不適切である。
  4. ユーモアは人間関係を曖昧にするため、誠実さを損なう恐れがある。
  5. 他者を嘲笑するような笑いは、健全な人間関係を育まない。
  6. ユーモアは問題を直接的に伝えるよりも、効果的に批判を伝える手段となる。
  7. 笑いは文化的に価値が低いため、社会的な議論には向かない。
  8. 笑いは人を操作する手段にすぎず、道徳的には問題がある。
  9. ユーモアを使う際には、関係性や文脈をよく考える必要がある。
  10. 真面目な場では、ユーモアの使用は基本的に許されない。
【正解と解説】

正解:5(と6, 9)

語句説明:
ユーモア:状況をやわらげ、相手に気づきを促す知的で柔軟な表現技法。

レベル:共通テスト対策(長文+英訳)|更新:2025-07-23|問題番号:035


【本文の英訳】

Laughter is often seen as something light-hearted, or even the opposite of seriousness. However, humor is far more than just a joke or a distraction. It plays an important role in adjusting subtle emotional gaps and interpersonal distances within society. For example, when a manager jokes about their own mistake, it can ease the atmosphere and build rapport with their team. Humor also allows people to raise issues that are difficult to express directly, without offending others. In this way, it becomes a delicate tool for saying something without saying it too strongly. That said, humor used as mockery or insult can harm relationships. Therefore, using humor wisely requires sensitivity to context, relationships, and timing. Laughter is not just a way to lighten the mood—it can also be a thoughtful instrument for navigating human connection.