評論文対策問題 033(本文2倍・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
「もっと集中しなければ」と私たちはしばしば自分に言い聞かせる。
だが集中とは、本当に意志の力だけで高められるものなのだろうか。
むしろ、集中できないときというのは、意志の問題というより「環境」や「時間の質」が関係していることが多い。
たとえば、常に通知が飛び交うスマートフォンの近くでは、注意が細切れになりやすい。
また、制限時間のある中で焦りながら取り組むと、内容が頭に残らないことがある。
一方で、たとえ短い時間でも、自分だけの静かな空間で、他に何も考えずにいられる状態が整えば、不思議と集中できる。
これは、集中が「一つの対象と、他のすべてを切り離す状態」だということを示している。
つまり、集中力を高めるには、意志以上に「集中できる時間と空間をどう整えるか」という視点が重要になる。
集中とは力むことではなく、整えることなのである。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 集中力はすべて意志の強さに依存しており、環境は関係ない。
- スマートフォンを使うことは集中力を高めるトレーニングになる。
- 制限時間を設けることで、常に集中力が向上する。
- 集中できないのは、努力が足りない証拠である。
- 集中力の高低は、主にその人の性格や生まれつきで決まる。
- 集中とは、無理をしてでも意識を絞る行為である。
- 集中力は、静かで整った環境や時間によって高められることがある。
- 長時間続けて勉強すれば、必ず集中力が上がる。
- 集中は精神論であり、現代社会では意味を失っている。
- 集中とは、思考を強制的に一点に固定する状態である。
【正解と解説】
正解:7
- 選択肢1:× 本文では「環境や時間の質が重要」と繰り返されている。
- 選択肢2:× 通知などで「注意が細切れに」とあり、逆効果とされる。
- 選択肢3:× 焦ると記憶に残らないと述べられており、逆効果。
- 選択肢4:× 努力ではなく「整えること」が大事という主張。
- 選択肢5:× 性格ではなく、状況や空間の工夫が中心テーマ。
- 選択肢6:× 「力む」のではなく「整える」ことが鍵とされる。
- 選択肢7:◎ 「静かな空間」「整える視点」など本文の中核と一致。
- 選択肢8:× 時間の長さではなく「質」が重視されている。
- 選択肢9:× 集中の意味と意義を本文はむしろ再評価している。
- 選択肢10:× 一点集中ではなく「他を切り離す環境」が本旨。
語句説明:
時間の質:どれだけ長いかではなく、どんな状態でその時間を過ごしているかという視点。
【本文の英訳】
We often tell ourselves, “I need to focus more.” But is focus really something we can enhance purely through willpower? In many cases, the inability to concentrate stems less from a lack of effort and more from environmental distractions or the quality of time. For instance, having a phone with constant notifications nearby fragments our attention. Similarly, when we rush under time pressure, what we learn may not stick. Conversely, even a short period of quiet, uninterrupted time in a personal space can lead to surprising levels of concentration. This suggests that focus is the ability to direct attention to one thing by cutting off all else. To enhance concentration, it is not willpower but the design of a focused time and space that truly matters. In short, concentration is not about trying harder, but about preparing better.