評論文対策問題 032(本文2倍・選択肢10個+英文)

本文(抜粋)

私たちは日常的に「何を持っているか」で人や自分を評価してしまうことがある。
学歴や収入、所有物、交友関係の広さなど、「所有」を通じてその人の価値を測る傾向がある。
しかし、「持つこと」と「存在すること」は本来別の次元の話である。
誰かが高級車を持っていたとしても、それはその人の人格そのものを保証するものではない。
にもかかわらず、私たちは「持っていること」を「優れていること」や「人間性の証明」と混同しがちである。
この混同は、他者との比較や競争を助長し、社会における不安や焦燥を生みやすくする。
本来、人間の価値とは、「何を持っているか」ではなく、「どのように在るか」によって決まるべきである。
たとえば、思慮深さや誠実さ、他者を思いやる姿勢は、目に見える形で「所有」できるものではないが、その人の存在のあり方を豊かにする。
私たちは「持つ」ことに価値を置くだけでなく、「在る」ことそのものに目を向ける想像力を養う必要がある。

【問題】

筆者の主張に最も合致するものを選べ。

  1. 人間の価値は、どれだけのモノや地位を持っているかで判断される。
  2. 所有物の充実が、その人の人格の豊かさを正しく示している。
  3. 持たざる者は、社会的に劣っていると見なされても仕方がない。
  4. 高級な物を持つことは、人間としての完成度を意味する。
  5. 「持つこと」と「在ること」を分けて考える姿勢が重要である。
  6. 人間の価値は、社会的な競争に勝つことによって決まる。
  7. 誠実さや思慮深さは、具体的な形で所有できる資産である。
  8. 所有はすべて幻想であり、人間は何も持たずに生きるべきである。
  9. 社会不安の原因は、所有への欲望そのものにあるため、所有を否定すべきである。
  10. 競争社会では、「在る」ことよりも「持つ」ことが必然的に重視される。
【正解と解説】

正解:5

選択肢を見抜くテクニック:

語句説明:
存在のあり方:その人がどう生きているか、どういう態度で他者や世界と関わっているかということ。

レベル:共通テスト対策(長文対応+英訳)|更新:2025-07-23|問題番号:032


【本文の英訳】

In our daily lives, we often evaluate others—and even ourselves—based on what we possess. Educational background, income, belongings, the breadth of social connections—these forms of "ownership" are frequently used to measure someone's worth. However, "having" and "being" are fundamentally different concepts. For instance, owning a luxury car does not automatically prove a person's character. Yet we tend to equate possessions with superiority or proof of humanity. This confusion promotes comparison and competition, fostering anxiety and restlessness in society. Human worth should be determined not by what one owns, but by how one lives and exists. Traits like thoughtfulness, sincerity, and compassion cannot be "owned" in a visible way, yet they deeply enrich a person's way of being. We need to cultivate the imagination that allows us to value not only what someone has, but how they are.