評論文対策問題 030(本文2倍・選択肢10個)
本文(抜粋)
「個人の自由」とは、近代以降の社会が最も重視してきた価値の一つである。
しかし、他者と共に生きる社会において、その自由には当然ながら限界がある。
問題は、その限界がどこにあるかが明確ではない点にある。
誰かの行動が「自由の行使」であるか「迷惑行為」であるかは、しばしば人によって解釈が異なる。
たとえば、音楽を大音量で聴くことを「自分らしく生きる自由」と捉える人もいれば、「他人の生活を妨げる行為」と感じる人もいる。
このようなズレは、ルールで一概に裁くことが難しく、共通の前提や対話を必要とする。
自由の主張は、他者との関係の中で初めて意味を持つ。
自分がしたいことをただ通すのではなく、「それによって誰がどう影響を受けるか」を考える想像力が問われる。
自由とは、個人が勝手に行動できることではなく、社会のなかで調整される「関係性の技術」でもあるのだ。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 個人の自由は最優先であり、他者の感情を考慮する必要はない。
- 自由の限界は法で明確に規定されており、議論の余地はない。
- 自由の行使は、本人の価値観に完全に委ねられるべきである。
- 自由な行動が周囲に迷惑をかけても、それを受け入れるのが成熟した社会である。
- 自由の本質は、他者への配慮なく個人が独立して生きることにある。
- 自由は自己責任の範囲であり、他人の意見に左右される必要はない。
- 自由とは、他者との関係性の中でバランスをとることで成り立つものである。
- 他者に影響を与えることを恐れるあまり、自由な表現は控えるべきである。
- 社会の中では、個人の自由よりも集団の秩序を常に優先すべきである。
- 個人の自由はルールの枠内で保証されるべきであり、それ以上の想像力は不要である。
【正解と解説】
正解:7
- 選択肢1:× 他者への配慮を欠いた自由は本文で否定されている。
- 選択肢2:× 法だけで裁けないからこそ「対話と想像力」が必要とされている。
- 選択肢3:× 自由は「他者との関係の中で調整される」とされており、完全な主観優先ではない。
- 選択肢4:× 被害を受けた側の視点が欠如しており、筆者の主張と異なる。
- 選択肢5:× 独立=自由という単純な図式は批判されている。
- 選択肢6:× 他者との関係を無視する主張であり、本文の「関係性の技術」と矛盾。
- 選択肢7:◎ 「関係性」「想像力」「バランス」など本文の中核を反映。
- 選択肢8:× 自由な表現を抑えるような論調は本文にはない。
- 選択肢9:× 常に集団優先とはされておらず、あくまで「調整」がキーワード。
- 選択肢10:× 法の枠だけでなく「想像力」が強調されていた。
選択肢を見抜くテクニック:
- 「自由 vs 他者」「行動 vs 想像力」などの関係性をどう捉えるかがカギ
- 極端な自由礼賛や秩序優先は基本的に本文とズレている
語句説明:
関係性の技術:相手や場に応じて自分の表現・行動を調整する力。自由の成熟形として重要視される。