評論文対策問題 003
本文(抜粋)
芸術において「理解できること」が必ずしも「価値があること」とは限らない。
作品の意味が明快であることを求めすぎると、受け手の想像力を奪ってしまう危険がある。
表現とは、本来、解釈の余地を含んでいるからこそ豊かなのであり、その曖昧さの中に人は自らの経験や感情を重ねるのだ。
芸術の価値は、説明の容易さではなく、受け手の内面に何かを残す力にこそある。
【問題】
筆者の芸術に対する考えとして最も適当なものを選べ。
- 芸術は明快で説明可能なものであるべきであり、それが人を感動させる。
- 芸術の価値は、制作者の意図が明確に伝わる点にある。
- 作品の曖昧さは、受け手にとって理解の障壁であり、評価を下げる。
- 芸術作品は、受け手が自らの感情を重ねられる曖昧さに価値がある。
- 芸術は誰にとっても同じように解釈されることが理想である。
【正解と解説】
正解:4
- 選択肢1:× 想像力を奪うため、明快すぎることを筆者は批判している。
- 選択肢2:× 「制作者の意図」よりも「受け手の解釈」が重視されている。
- 選択肢3:× 曖昧さは価値として肯定されている。
- 選択肢4:◎ 本文と論理的に一致している。
- 選択肢5:× 「誰にとっても同じ」は筆者の主張の逆。
選択肢を見抜くテクニック:
- キーワード「曖昧さ」「解釈の余地」「内面に残す力」から選択肢を照合
- 「作者重視」か「受け手重視」かの立場に注目
語句説明:
曖昧:意味や解釈が一つに定まらない状態。芸術においては豊かさの源とされる。