評論文対策問題 028(本文2倍・選択肢10個)

本文(抜粋)

フィクションとは、現実には起きていない出来事や、実在しない人物を描くものである。
しかし、だからといってフィクションが「嘘」や「無意味」だとは限らない。
むしろ、物語は現実の理解や感情の整理に深く関わっている。
たとえば、小説を通して他者の視点に立ったり、映画を観て心を揺さぶられたりする経験は、現実の人間関係や行動にも影響を与えることがある。
私たちは日々、フィクションを通じて「もし~だったら」という想像を働かせ、自分自身や社会について思いを巡らせている。
また、歴史的にも、多くの人々が物語によって勇気づけられたり、信念を新たにしたりしてきた。
フィクションは、現実の正確な再現ではないが、それゆえにこそ現実の背後にある構造や問題を浮かび上がらせることができる。
問題なのは、フィクションを「現実とは無関係な娯楽」としてしか捉えない姿勢である。
物語は、現実から逃げるための手段であると同時に、現実を見つめ直すための鏡にもなりうるのだ。

【問題】

筆者の主張に最も合致するものを選べ。

  1. フィクションは事実と異なるため、現実には何の影響も与えない。
  2. 現実の正確な再現こそが、フィクションの最大の目的である。
  3. 物語は読者の空想を助けるが、それが社会には意味を持たない。
  4. フィクションを読むことで、現実逃避の癖が強くなるので注意すべきである。
  5. フィクションには感情的な価値はあるが、論理的思考には無縁である。
  6. 物語は人の行動や信念に影響を与えることがあり、現実に関与する力を持つ。
  7. 物語は嘘の集合であり、現実とは明確に区別して考えるべきである。
  8. フィクションは、歴史的事実や科学的正確さに基づく限りでのみ価値がある。
  9. フィクションは現実の構造や問題を映す鏡となりうる。
  10. 物語は現実に逃げ場を与えるのみで、深い意味は持たない。
【正解と解説】

正解:6(と9)

選択肢を見抜くテクニック:

語句説明:
フィクション:虚構。現実とは異なるが、現実に働きかける力を持つ想像の物語。

レベル:共通テスト対策(長文対応)|更新:2025-07-23|問題番号:028