評論文対策問題 027(本文2倍・選択肢10個)

本文(抜粋)

現代では「オリジナリティ」が過剰に重視される傾向がある。
何かを真似すると「独創性がない」「個性がない」と批判されることすらある。
しかし、創造とは本当に「まったく新しいものを生み出す」ことなのだろうか。
実際には、多くの創造的な営みは、過去の模倣や参照の上に成り立っている。
書道における「臨書」や、音楽におけるカバー演奏のように、既存の表現を徹底的に模倣することでしか得られない深い理解や感覚がある。
重要なのは、模倣することで素材や形式に習熟し、そのうえで自分なりのずらしや解釈を加えていくプロセスである。
創造とは、まったく無から立ち上がる神のような行為ではなく、「どこかで見たことのあるもの」を、自分なりに再構成していく営みなのだ。
模倣を過小評価し、常に「新しさ」ばかりを追い求めることは、かえって表面的で脆弱な創造に陥る危険をはらんでいる。
真の創造性とは、模倣と習熟の地盤の上に、わずかに生まれる「ずれ」や「響き」の中に宿るのである。

【問題】

筆者の主張に最も合致するものを選べ。

  1. 創造とは、模倣を排してゼロから発想することに価値がある。
  2. 模倣は創造性の欠如を示す行為であり、教育では避けるべきである。
  3. オリジナリティとは、完全に前例のない表現を目指す姿勢のことである。
  4. 模倣を繰り返すと独創性は損なわれてしまうため、早期にやめるべきである。
  5. 模倣と創造は本質的に無関係である。
  6. 模倣と習熟を通して、自分なりの解釈を加えることが創造につながる。
  7. 創造的であるためには、他者の表現を意識せずに独立する必要がある。
  8. 新しさを追い求める創造は、常に模倣よりも価値が高い。
  9. 模倣の中に創造性を見出すことは、芸術表現に限られる。
  10. 模倣は古典的な技術では通用するが、現代社会には適さない。
【正解と解説】

正解:6

選択肢を見抜くテクニック:

語句説明:
臨書:古典の書をそっくりになぞり書くこと。書道の訓練の基本。

レベル:共通テスト対策(長文対応)|更新:2025-07-23|問題番号:027