評論文対策問題 025(本文2倍・選択肢10個)

本文(抜粋)

私たちは日々、言葉を用いて他者と関わっている。
しかしその言葉には、しばしば無意識の偏見が含まれていることがある。
たとえば、「男らしさ」「女らしさ」といった表現は、その人がどうありたいかではなく、社会が期待する振る舞いを押しつける効果を持ちうる。
言葉は単なる情報伝達の道具ではなく、人々の役割意識や感情、行動パターンを形づくる力を持つ。
「お母さんは優しいね」「男のくせに泣くな」など、一見善意や常識として語られる言葉であっても、特定の性に対して特定の役割や感情のあり方を押し付けてはいないだろうか。
問題は、こうした表現が日常に深く根付いているために、それが偏見であると気づきにくい点にある。
無自覚な言葉づかいが、知らず知らずのうちに他者を制限し、自分自身の行動も狭めている。
だからこそ、私たちは自分が発する言葉に敏感になり、何をどう語るかについて意識的である必要がある。
言葉を変えることは、社会の在り方そのものを問い直すことに通じている。

【問題】

筆者の主張に最も合致するものを選べ。

  1. 言葉は単なる道具であり、内容の意味以上に影響力はない。
  2. 性別に基づく言い回しは、文法的に正しければ問題ない。
  3. 善意で使っている表現ならば、他者への影響を考慮する必要はない。
  4. 「男らしさ」「女らしさ」は、人間の本質を正確に表現している言葉である。
  5. 日常的な言葉遣いにも、無意識の偏見が潜んでいることがある。
  6. 性別役割に関する表現は、伝統的価値観の一部として尊重されるべきである。
  7. 社会を変えるには、まず法律よりも言葉遣いを徹底的に規制すべきである。
  8. 言葉は社会を映す鏡ではあるが、人間の行動には影響を与えない。
  9. 言葉は誰にでも自由に使えるものであり、使い方に責任は生じない。
  10. 日常の言葉に無自覚でいることは、他者や自分を知らずに縛ることにつながる。
【正解と解説】

正解:5(と10)

選択肢を見抜くテクニック:

語句説明:
無意識の偏見:自覚のないまま抱いている差別的な考え方。言葉の選び方に表れやすい。

レベル:共通テスト対策(長文対応)|更新:2025-07-23|問題番号:025