評論文対策問題 024(本文2倍・選択肢10個)
本文(抜粋)
現代社会では「効率」が重視される傾向が強まっている。
教育の現場においても、できるだけ早く、できるだけ多くの知識や技術を身につけることが目標とされがちだ。
しかし、すべての学びが効率的であるべきなのだろうか。
本を読み、考え込み、脱線し、ときには間違えながら進むプロセスには、一見無駄に見える時間が含まれている。
だが、その「遠回り」こそが、深い理解や独自の視点を育む土壌となる。
「何の役に立つのか」という問いに即答できない学びの中にこそ、思考の自由や創造性が宿ることがある。
効率とは、すでに目的が明確である場合には非常に有効だが、そもそも「何を学ぶか」や「なぜ学ぶか」といった根本的な問いに立ち返るとき、非効率な営みが必要になる。
教育とは、単なる情報伝達ではなく、問いを持ち、迷い、考える時間の蓄積でもある。
私たちは、目に見える成果だけで教育の価値を測ろうとする姿勢を、今こそ見直すべきではないだろうか。
【問題】
筆者の教育観に最も合致するものを選べ。
- 教育は、最短経路で知識を獲得する訓練の場である。
- 教育の目的は明確であるべきであり、無駄な学習は排除すべきである。
- 効率を最優先にすることが、現代教育の本質を高める方法である。
- 教育の成果は、明確な目標達成度によって客観的に評価されるべきだ。
- 非効率な学びの中にこそ、創造性や深い理解が育まれることがある。
- 教育では、何をどれだけ早く暗記できるかがもっとも重要である。
- 効率の悪い学びは、教育的価値を持たないと考えられる。
- 教育とは、生徒に常に即答可能な知識を与える場である。
- 成果の見えにくい教育活動は、評価の対象とする必要がない。
- 教育の価値は、知識の正確な伝達率によって測定できる。
【正解と解説】
正解:5
- 選択肢1:× 「最短経路」よりも「遠回りの学び」に価値があると主張されている。
- 選択肢2:× 「何の役に立つかわからない学び」こそ重要とされている。
- 選択肢3:× 効率優先が教育の本質を損ねると警鐘を鳴らしている。
- 選択肢4:× 目に見える成果に偏らず、問いや思索の時間が重要とされている。
- 選択肢5:◎ 「非効率な営みが必要」「創造性が宿る」など本文と完全一致。
- 選択肢6:× 暗記重視の態度は否定的に描かれている。
- 選択肢7:× 「効率の悪い学び」も価値があるとされており、逆の立場。
- 選択肢8:× 即答できないことに意味があるとされている。
- 選択肢9:× 「成果が見えにくい学び」こそ再評価が必要とされている。
- 選択肢10:× 知識の伝達率だけで測る視点は、本文の教育観と対立する。
選択肢を見抜くテクニック:
- 「非効率」「役に立たない」などの表現を肯定的に扱っているか
- 「思索」「問いをもつ時間」を軽視していないか
語句説明:
遠回りの学び:すぐに成果が出ないが、深い理解や発想の自由を育てる学習プロセス。