評論文対策問題 014(本文2倍・選択肢10個)
本文(抜粋)
一般に「創造性」と聞くと、自由奔放な発想や型破りな表現を思い浮かべるかもしれない。
しかし実際には、創造的な行為の多くは、一定のルールや制限の中でこそ生まれる。
音楽や俳句、将棋などに見られるように、形式や規則があるからこそ、創造的な工夫や意外性が際立つ場が生まれるのだ。
完全な自由は、かえって人を迷わせ、何をしていいのかわからなくする。
ルールという「壁」にぶつかることで、私たちは新たな視点や技術を獲得する機会を得る。
さらに、既存の形式の中で違和感や不満を覚えることこそが、それを乗り越える創造性の原動力となる。
だからこそ、創造的であるということは、ルールを破ることではなく、ルールの意味や限界を理解した上で、それに挑んだり、微妙にずらしたりする行為であるとも言える。
規律と創造性は相反するものではなく、むしろ創造性の背景には、しばしば厳密な規律や習熟が存在しているのである。
【問題】
筆者の主張として最も適切なものを選べ。
- 創造性とは、ルールに従う限り発揮されない性質である。
- 自由こそが創造の源であり、規則はその妨げである。
- ルールに違反することこそが、創造的行為である。
- 創造性と規律は、基本的に両立しない概念である。
- 創造性とは、既存のルールの意味を理解した上で柔軟に扱う力である。
- ルールに従うほど、創造性は消えていく。
- 完全な自由は創造を促すが、制限は思考の邪魔である。
- 規則を意識しないことで、かえって独自性が生まれる。
- 創造性とは、ルールの存在を意識的に否定する態度である。
- ルールがあるからこそ、創造的な工夫が可能になる。
【正解と解説】
正解:5
- 選択肢1:× 「ルールの中でこそ生まれる」と本文にあり、逆の立場。
- 選択肢2:× 自由だけではなく、制限の中で生まれる創造性が強調されている。
- 選択肢3:× 「破ること」ではなく「意味を理解し柔軟に扱う」が正解の立場。
- 選択肢4:× 両立しないとは述べられていない。むしろ両立すると明記。
- 選択肢5:◎ 本文の核心「ルールの意味を理解しつつ、柔軟に対応する」が反映されている。
- 選択肢6:× 従うことでこそ生まれる創造性があるとされており、逆説的主張。
- 選択肢7:× 制限の有意義さを本文は肯定している。
- 選択肢8:× 「意識しないこと」が創造につながるとは書かれていない。
- 選択肢9:× 否定するのではなく「ずらす・挑む」が創造性の姿勢とされている。
- 選択肢10:△ 正解にかなり近いが、「意味を理解した上で」という視点が欠けている。
選択肢を見抜くテクニック:
- 「ルール=敵」や「自由=善」という単純な二項対立は疑う
- 本文に出てくるずらす・挑む・乗り越えるといった行動に注目
- 「完全に正しいようで何かが足りない」選択肢(例:10)に要注意
語句説明:
習熟:繰り返し練習することで、ある技術や知識を十分に身につけること。