古文対策問題 086(竹取物語「かぐや姫の昇天」長文)
【本文】
かぐや姫の物語、いよいよ昇天の夜となる。
八月十五夜、月の光いと明らかにさし入りて、姫の御姿、ことのほか美しく見え給ふ。
迎えの天人、雲に乗りて降り来たり、姫に「罪なくてこの世に下り給へり」と語る。
姫、竹取の翁と媼に別れの言葉をのべ、涙ながらに天の羽衣を身にまとい給ふ。
やがて月の都に帰り給ふ姫の御姿、地に残る人々、ただ涙にくれぬ。
【現代語訳】
かぐや姫の物語は、ついに昇天の夜を迎える。
八月十五夜、月の光がとても明るく差し込み、姫の姿はことのほか美しく見えた。
迎えの天人たちが雲に乗って降りてきて、「罪なくしてこの世に下りられた」と姫に告げる。
姫は竹取の翁と媼に別れの言葉を述べ、涙ながらに天の羽衣を身にまとった。
やがて月の都に帰る姫の姿を見送り、地上に残った人々はただ涙にくれた。
【覚えておきたい知識】
文学史・古文常識:
- 作者:未詳。平安初期の物語文学。
- 作品:『竹取物語』。日本最古の物語。
- かぐや姫:竹から生まれた美女。天上の世界の姫。
- 翁・媼:姫を育てた竹取の老夫婦。
- 天人:天界から姫を迎えに来る存在。
重要古語・語句:
- 昇天:天に昇ること。
- 八月十五夜:中秋の名月。
- 御姿:お姿、敬語。
- ことのほか:格別に。
- 羽衣:天人がまとう衣。
【設問】
【問1】かぐや姫が天に帰る夜の情景として本文内容に最も合うものを一つ選べ。
- 月の光が明るく姫が美しく見える夜
- 激しい嵐の夜
- 冬の雪の夜
- 春の桜が咲く夜
- 都の賑やかな夜
【問1 正解と解説】
正解:1
「月の光いと明らかにさし入りて、姫の御姿、ことのほか美しく見え給ふ」とある。
【問2】天人たちがかぐや姫に語ったこととして本文内容に最も合うものを一つ選べ。
- 「罪なくてこの世に下り給へり」
- 「地上の人と結婚せよ」
- 「富を授けよう」
- 「長く地上に留まれ」
- 「もう一度竹林に戻れ」
【問2 正解と解説】
正解:1
「罪なくてこの世に下り給へり」と本文にある。
【問3】かぐや姫が昇天する際に翁と媼にどうしたか、本文内容に最も合うものを一つ選べ。
- 別れの言葉を述べた
- 何も言わずに去った
- 財産を分け与えた
- 歌を詠んだ
- 約束を交わした
【問3 正解と解説】
正解:1
「別れの言葉をのべ」と本文にある。
【問4】『竹取物語』の物語全体の特徴として最もふさわしいものを一つ選べ。
- 天上と地上をめぐる幻想的な物語である
- 武士の戦いを記録した軍記物語である
- 都の政治を描いた歴史物語である
- 日記文学である
- 仏教説話集である
【問4 正解と解説】
正解:1
『竹取物語』は天上と地上をめぐる幻想的な物語である。