古文対策問題 084(平家物語「祇園精舎」長文)
【本文】
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。
これ平家一門、栄華をきはめながらも、わずかの間に没落せし物語なり。
【現代語訳】
祇園精舎の鐘の音には、すべてのものが無常であるという響きがある。
沙羅双樹の花の色は、盛んなものも必ず衰えるという理を示している。
権勢を誇る人も長くは続かず、まるで春の夜の夢のようにはかない。
強い者もついには滅びる。まさに風の前の塵と同じである。
これは平家一門が栄華を極めながらも、短い間に没落した物語である。
【覚えておきたい知識】
文学史・古文常識:
- 作者:未詳。鎌倉時代の軍記物語。
- 作品:『平家物語』。平家一門の栄枯盛衰を語る。
- 祇園精舎:インドの寺院名、日本では無常観の象徴。
- 沙羅双樹:仏教的な無常を象徴する木。
- 諸行無常:すべてのものは移り変わるという仏教思想。
重要古語・語句:
- 盛者必衰:栄えているものは必ず衰える。
- おごれる:威張る、権勢を誇る。
- はほろぶ:滅びる。
- ひとへに:まったく、まさに。
- きはめる:きわめる、極める。
【設問】
【問1】「祇園精舎の鐘の声」が象徴するものとして本文内容に最も合うものを一つ選べ。
- 諸行無常の響き
- 戦いの始まり
- 春の訪れ
- 仏教の教義
- 都の賑わい
【問1 正解と解説】
正解:1
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」と本文にある。
【問2】「盛者必衰の理」が意味するものとして本文内容に最も合うものを一つ選べ。
- 盛んなものは必ず衰える
- 花が美しいこと
- 鐘の音が大きいこと
- 人は皆幸せになること
- 戦いに勝つこと
【問2 正解と解説】
正解:1
「盛者必衰の理をあらはす」と記されている。
【問3】「おごれる人も久しからず」とは本文内容においてどういう意味か、最も合うものを一つ選べ。
- 権勢を誇る者も長くは続かない
- 都に住む人は長生きする
- 武士は勇ましい
- 仏教を信仰する人は多い
- 春の夜は静かである
【問3 正解と解説】
正解:1
「おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし」とある。
【問4】『平家物語』冒頭に込められた主題として最もふさわしいものを一つ選べ。
- 無常観、栄枯盛衰のはかなさ
- 武士の恋愛模様
- 都の平和
- 貴族の宴会
- 四季の美しさ
【問4 正解と解説】
正解:1
全文を通じて「無常観」や「栄枯盛衰のはかなさ」が主題となっている。