ドイツ語 実践編:読んでみよう! 〜短いテキストと文法解説〜

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実践編:読んでみよう! 〜短いテキストと文法解説〜

Guten Tag!

これまでの学習で、ドイツ語の文を構成するほとんどのルールを学び終えました。この実践編では、実際のテキストを読み解きながら、文法知識がどのように連携して意味を形作っているのかを体験していきます。今回は、グリム童話の一つ「星の銀貨 (Die Sterntaler)」の有名な冒頭部分を読んでみましょう。

テキスト:Die Sterntaler (星の銀貨)

読んでみよう

Es war (1) einmal ein armes (2), frommes Mädchen, dem (3) war Vater und Mutter gestorben (4). Es hatte (5) nichts mehr, kein Kämmerchen, darin (6) es wohnen, und kein Bettchen, darin es schlafen konnte, und endlich gar nichts mehr als die Kleider auf dem Leib.

文法解説

(1) Es war einmal...

「昔々あるところに…」という、物語の始まりの決まり文句です。war は `sein` の過去基本形で、物語を語るのにふさわしい時制ですね。

(2) ein armes, frommes Mädchen

「一人の貧しい、信心深い少女」。先行する不定冠詞`ein`が中性1格で強い語尾を持たないため、形容詞 `arm` (貧しい) と `fromm` (信心深い) が、中性1格の強い語尾 -es を取って `armes`, `frommes` となっています(混合変化)。

(3) dem war Vater und Mutter gestorben

「その少女にとっては父と母が死んでしまっていた」。ここは少し特殊な語順で、関係代名詞dem (少女に、3格)が文頭に来ています。`Mädchen` (中性名詞) を受けて、3格の `dem` になっています。

(4) gestorben

`sterben` (死ぬ) の過去分詞です。ここでは助動詞`sein`と共に使われ、完了の状態を表しています。

(5) Es hatte nichts mehr

「彼女はもう何も持っていなかった」。`hatte`は`haben`の過去基本形です。主語は`es` (少女を指す)。

(6) darin es wohnen ... konnte

「その中で彼女が住むことができる」。`darin`は「その中に」という意味の副詞。話法の助動詞`können`の過去基本形`konnte`が、枠構造の最後に来ています。


今回のまとめ

物語のような書き言葉には、過去基本形や形容詞の格変化、そして少し特殊な語順などが頻繁に登場します。一つ一つの文法事項を正確に理解していることが、読解の鍵となるのがお分かりいただけたかと思います。

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