ドイツ語 中級編:伝聞と引用のテクニック 〜接続法I式(間接話法)〜

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中級編:伝聞と引用のテクニック 〜接続法I式(間接話法)〜

Guten Tag!

前回は、非現実の世界を語る「接続法II式」を学びました。今回は、もう一つの接続法である「接続法I式(Konjunktiv I)」を学びます。この接続法I式の主な役割は、他の人の発言や文章の内容を、話し手が客観的な距離を保って伝える「間接話法(伝聞)」です。「彼は〜だそうだ」「新聞によれば〜とのことだ」といった表現で、主にニュースや新聞などの書き言葉で使われる、格調高い文体です。

接続法I式の作り方

接続法I式は、動詞の原形の語幹に、特別な人称語尾を付けて作ります。

接続法I式の活用語尾

-e, -est, -e, -en, -et, -en

主語`kommen` (来る)`sein` (〜である) ※最重要
ichkommesei
dukommestseist
er/sie/eskommesei
wirkommenseien
ihrkommetseiet
sie/Siekommenseien

※`ich`, `wir`, `sie/Sie`の形が現在形と同じになる動詞では、区別するために代わりに接続法II式(`würde`など)が使われるのが一般的です。

間接話法での使い方

接続法I式は、`dass`を使わずに、他者の発言を客観的に引用する際に使われます。

例文で直説法と接続法I式を比較しよう

直接の発言:

Er sagt: "Ich bin krank." (彼は「私は病気です」と言います。)

`dass`を使った文 (事実として報告):

Er sagt, dass er krank ist. (彼は病気だと言っています。)

接続法I式を使った文 (客観的な伝聞):

Er sagt, er sei krank. (彼は病気だとのことです。) - 話し手はその真偽を保証していない

過去の出来事を伝聞で表す場合は、助動詞 `haben` または `sein` を接続法I式の形にします。

Der Politiker sagte, er habe nichts davon gewusst. (その政治家は、それについて何も知らなかった、と述べた。)


今回のまとめ

  1. 接続法I式は、主に書き言葉で、他者の発言を客観的に伝える「間接話法」で使われる。
  2. 動詞の原形の語幹に `-e, -est, -e...` といった語尾を付けて作る。
  3. 特に `sein` の接続法I式 `sei` は非常に頻繁に使われる。

日常会話で積極的に使う機会は少ないかもしれませんが、ニュースや新聞を読む際には、この接続法I式を知っているかどうかが、内容を正確に理解する上で大きな差となります。

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