中級編:非現実の仮定文 〜`Wenn ich ... wäre` (もし私が…だったら)〜
Guten Tag!
前回は、接続法II式の基本的な形と使い方を学びました。今回は、その知識を応用して、ドイツ語の仮定法の核心である「非現実の仮定文」をマスターします。「もし(今)お金があったら、旅行に行くのに」といった現在の事実に反する願望や、「もし(あの時)勉強していたら、試験に合格したのに」といった過去の事実に反する後悔などを、正確に表現できるようになります。
現在の事実と違う仮定
「もし(今)〜だったら、…なのに」という文は、`Wenn`で始まる副文と、主文の両方で接続法II式を使います。
構文: `Wenn + [副文: 接続法II式], [主文: 接続法II式]`
例文で現実と仮定を比較しよう
現実: Ich habe kein Geld, deshalb reise ich nicht. (私にはお金がない。だから旅行しない。)
仮定: Wenn ich Geld hätte, würde ich reisen. (もし私にお金があったら、旅行するのに。)
現実: Ich bin nicht reich. (私はお金持ちではない。)
仮定: Wenn ich reich wäre, würde ich ein Schloss kaufen. (もし私がお金持ちだったら、お城を買うのに。)
※`Wenn`で始まる副文が先に来る場合、主文は動詞から始まることに注意してください(定動詞第2位のルール)。
過去の事実と違う仮定
「もし(あの時)〜だったら、…だったのに」という過去についての仮定は、助動詞 `haben` または `sein` を接続法II式の形 (`hätte` / `wäre`) にして、過去分詞と組み合わせます。
構文: `Wenn + [副文: hätte/wäre + 過去分詞], [主文: hätte/wäre + 過去分詞]`
例文で過去の現実と仮定を比較しよう
現実: Ich hatte keine Zeit, deshalb bin ich nicht gekommen. (私には時間がなかったので、来なかった。)
仮定: Wenn ich Zeit gehabt hätte, wäre ich gekommen. (もし私に時間があったなら、来たのに。)
現実: Du hast nicht gelernt, deshalb hast du die Prüfung nicht bestanden. (君は勉強しなかったので、試験に合格しなかった。)
仮定: Wenn du gelernt hättest, hättest du die Prüfung bestanden. (もし君が勉強していたなら、試験に合格したのに。)
今回のまとめ
- 現在の非現実の仮定は `Wenn ..., [接続法II式]` の形で作る。
- 過去の非現実の仮定は `Wenn ..., [hätte/wäre + 過去分詞]` の形で作る。
接続法II式を使った仮定文は、願望や後悔、助言など、豊かな感情表現を可能にする、非常に人間的な文法です。