第6回:目的語の格マスター! 〜分格 vs 対格〜
Terve! Opitaan lisää sijamuotoja! (テルヴェ!オピターン リサー シヤムオトヤ! こんにちは!もっと格の形を学ぼう!)
前回は、否定文の目的語が必ず「分格」になるという鉄則を学びましたね。今回は、肯定文で「〜を」を表す目的語の格について、さらに深く掘り下げます。フィンランド語では、動作が「継続中」か「完了」かによって、目的語の格を「分格」と「対格」で使い分けます。これはスペイン語の線過去と点過去の使い分けにも似た、フィンランド語の核心に触れる重要なルールです。
分格 (Partitiivi) の復習と追加用法
分格の核となるイメージは「部分・不特定・不完了」でした。否定文に加えて、以下のような場面でも使われます。
- 継続中の動作: `Minä luen kirjaa.` (私は本を読んでいます。→ 読み終えていない)
- 不可算名詞 (数えられない名詞): `Juon kahvia.` (私はコーヒーを飲みます。→ コーヒーという液体の一部)
- 数字の後 (2以上): `Minulla on kaksi siskoa.` (私には2人の姉妹がいます。)
対格 (Akkusatiivi) とは?
対格は、分格とは対照的に「全体・特定・完了」を表す目的語の格です。動作が完了し、結果が出ていることを示します。
対格の形は少し複雑ですが、まず基本として「単語の最後に `-n` を付ける」と覚えましょう。(これは実は「属格」の形と同じですが、目的語として使うときは対格と呼ばれます。)
kirja → kirjan, talo → talon
分格 vs 対格 - 動作のニュアンスの違い
分格:Ammuin karhua. (私は熊を撃った。→ 弾が当たったかどうかは不明)
対格:Ammuin karhun. (私は熊を撃ち仕留めた。→ 結果が出ている)
分格:Minä luen kirjaa. (私は本を読んでいます。→ 継続中)
対格:Minä luin kirjan. (私は本を読み終えました。→ 完了)
特別な動詞:`rakastaa` (愛する)
「愛する」という感情は、完了することのない継続的な状態ですよね。そのため、`rakastaa` の目的語は常に分格になります。
Minä rakastan sinua. (私は君を愛している。)
今回のまとめ
目的語の格の使い分け、いかがでしたか?
- 分格は「継続・部分・不特定」、対格は「完了・全体・特定」を表す。
- 「本を読んでいる」なら分格、「本を読み終えた」なら対格、と動作の状態で使い分ける。
この使い分けはフィンランド語の表現力を左右する重要なポイントです。たくさんの例文に触れて感覚を掴んでいきましょう。