to不定詞マスターへの道

2-2: 「~したこと」を伝える【Perfect Infinitive: to have 過去分詞】

前回は、to不定詞の動作をする「誰が」をハッキリさせる「意味上の主語」について学びましたね。 今回は、to不定詞が「いつ」の出来事を表すのか、特に過去の出来事を表現するための特別な形、「Perfect Infinitive (パーフェクト インフィニティヴ/完了不定詞)」を紹介します。

完了不定詞とは? ~形と基本的な意味~

完了不定詞の形は、ズバリこれです!

to have + Past Participle (パスト パーティシプル/過去分詞)

そして、この完了不定詞が持つ最も重要な意味は、「文の主動詞 (述語動詞) が示す時よりも『前のこと』を表す」ということです。 簡単に言うと、「(主動詞の時より前に)~したこと」「(主動詞の時より前に)~であったこと」という意味になります。

「過去分詞」って覚えてる?

過去分詞は、動詞の活用の3番目の形のことですね(例: see - saw - seenseen)。 もし自信がなかったら、一度動詞の活用表を見直しておくと、この完了不定詞の理解がスムーズになりますよ!

普通のto不定詞(to + 動詞の原形)は、主動詞と同じ時点のことや、これからの未来のことを表すのが一般的です。 でも、「あの時より前に~した」という過去のニュアンスをto不定詞で表したい!そんな時に完了不定詞が活躍するのです。

完了不定詞の使い方①:主動詞が現在形のとき (例文10個)

文の主動詞が現在形の場合、完了不定詞 (to have + 過去分詞) は「過去のこと」を表します。

He seems to have been very popular when he was young.

彼は若い頃、とても人気があったように見えます。(見えるのは、人気があったのは過去)

She is proud to have passed such a difficult exam.

彼女はあんなに難しい試験に合格したことを誇りに思っています。(誇りに思うのは、合格したのは過去)

I am sorry to have kept you waiting so long.

こんなに長くお待たせしてしまって(過去に待たせてしまったことを、)申し訳ありません。

They are believed to have hidden the treasure map.

彼らは宝の地図を隠したと()信じられています。(隠したのは過去)

He claims to have seen a UFO last night.

彼は昨夜UFOを見たと()主張しています。(見たのは過去)

She appears to have forgotten our appointment.

彼女は私たちの約束を忘れてしまったように()見えます。(忘れたのは過去)

It is nice to have met you.

あなたにお会いできて(過去に会ったことを、)よかったです。(別れ際の挨拶など)

This building is said to have been built over a century ago.

この建物は1世紀以上前に建てられたと()言われています。(建てられたのは過去)

He is lucky to have survived such a serious accident.

あんなに深刻な事故を生き延びたとは、彼は()幸運です。(生き延びたのは過去)

I regret to have spent so much money on it.

それにそんなにお金を使ってしまったことを()後悔しています。(使ったのは過去)

完了不定詞の使い方②:主動詞が過去形のとき (例文10個)

文の主動詞が過去形の場合、完了不定詞 (to have + 過去分詞) は「大過去のこと(その過去の時点よりも、さらに前のこと)」を表します。

He seemed to have already finished his lunch when I arrived.

私が到着したとき、彼はすでに昼食を終えていたように見えました。(見えたのは過去、終えていたのは大過去)

The castle was said to have been built in the 15th century.

その城は15世紀に建てられたと言われていました。(言われたのは過去、建てられたのは大過去)

She appeared to have lost her keys somewhere.

彼女はどこかで鍵をなくしてしまったように見えました。(見えたのは過去、なくしたのは大過去)

They were believed to have left the country before the war started.

彼らは戦争が始まる前に国を去ったと信じられていました。(信じられたのは過去、去ったのは大過去)

He was lucky to have escaped from the fire.

彼はその火事から逃れられて幸運でした。(幸運だったのは過去、逃れたのは大過去)

The patient was reported to have shown signs of recovery the day before.

その患者は前日に回復の兆しを見せたと報告されました。(報告されたのは過去、兆しを見せたのは大過去)

She claimed to have met the celebrity during her trip.

彼女は旅行中にその有名人に会ったと主張しました。(主張したのは過去、会ったのは大過去)

He was thought to have studied abroad in his youth.

彼は若い頃に留学したことがあると思われていました。(思われたのは過去、留学したのは大過去)

The ancient ruins were found to have been abandoned for centuries.

その古代遺跡は何世紀もの間放棄されていたことがわかりました。(わかったのは過去、放棄されていたのは大過去)

I was sorry to have missed your call yesterday.

昨日お電話に出られなかったことを申し訳なく思いました。(思ったのは過去、出られなかったのは大過去)

時間軸で見てみよう!

主動詞の時と、完了不定詞が示す「それより前の時」の関係を視覚的に表しています。

通常の不定詞との比較

完了不定詞と通常の不定詞では、表す時間に違いが出ます。

to不定詞の形意味合い
He seems to be rich.通常の不定詞彼は(今)お金持ちであるように見える。
He seems to have been rich.完了不定詞彼は(以前)お金持ちであったように(今)見える。
He seemed to be rich.通常の不定詞彼は(その時)お金持ちであるように見えた。
He seemed to have been rich.完了不定詞彼は(それより以前に)お金持ちであったように(その時)見えた。

It seems that ... などとの書き換え

完了不定詞を使った文は、よく It seems that S + V (過去形/過去完了形)It is said that S + V (過去形/過去完了形) のような、that節を使った文に書き換えられます。意味はほぼ同じです。

He seems to have been ill. ⇔ It seems that he was ill.

She was believed to have told a lie. ⇔ It was believed that she had told a lie.

完了不定詞 練習ドリル

ドリル1:どちらの不定詞が適切?

...

...

ドリル2:書き換えてみよう!