1-6: 「~するなんて」と判断する理由【Adverb用法③ Basis of Judgment】
前回は、to不定詞が「感情の原因」を表す副詞の顔を見ましたね。(例:I'm happy to see you.) 今回は、同じ副詞の顔の中でも、少し違う役割、「Basis of Judgment (ベイシス オヴ ジャッジメント/判断の根拠)」を表す使い方を学びましょう。
これは、話者が何かについて「~に違いない」とか「~だなんて賢いね」のように判断を下したとき、「なぜそう判断したのか」その根拠や理由をto不定詞で示す用法です。 訳し方としては「~するとは…だ」や「~するなんて…だ」となることが多いです。
「判断の根拠」を表すto不定詞:「~するとは…だ」
to不定詞が「判断の根拠」を表すとき、それは主に判断を表す表現の後に置かれます。 判断を表す表現には、以下のようなものがあります。
- must be ... (…に違いない), can't be ... (…のはずがない)
- 人の性質や能力を表す形容詞:kind (親切な), clever (賢い), wise (賢明な), foolish (愚かな), silly (ばかげた), careless (不注意な), polite (礼儀正しい), rude (失礼な), brave (勇敢な), lucky (幸運な), patient (忍耐強い) など。
- It is [形容詞] of [人] to do ... の形 (2-1で詳しく学びます)
形は「判断を表す表現 + to + 動詞の原形 ...」となります。 「なぜそう思うの?」「どうしてそう判断できるの?」という疑問に答えるわけですね。
ある判断に対して、その根拠となる行動や状況をto不定詞が示します。
「なぜ彼が親切だと思うの?」→「彼女を助けるなんて!」という判断の根拠をto不定詞が説明します。
例文で見てみよう! (たっぷり20例)
He must be kind to help the old lady.
そのお年寄りの女性を助けるとは、彼は親切に違いない。
She is very clever to solve such a difficult puzzle.
そんな難しいパズルを解くなんて、彼女はとても賢い。
You were careless to make such a mistake.
そんな間違いをするとは、君は不注意だったね。
They must be rich to own that luxury yacht.
あの豪華なヨットを所有しているとは、彼らはお金持ちに違いない。
He was foolish to trust such an obvious lie.
あんな明白な嘘を信じるとは、彼は愚かだった。
How nice of you to remember my birthday!
私の誕生日を覚えていてくれるとは、あなたはなんて親切なんだ!(of A to do)
She can't be serious to suggest such a crazy plan.
あんな突拍子もない計画を提案するとは、彼女は本気のはずがない。
He is wise to invest in his education for the future.
将来のために自分の教育に投資するとは、彼は賢明だ。
It was brave of him to admit his fault in public.
公の場で自分の過ちを認めるとは、彼は勇敢だった。(of A to do)
You are lucky to have such supportive friends.
そんなに支えてくれる友達がいるなんて、君は幸運だ。(感情の原因にも近い)
He must be strong to lift that heavy table by himself.
あの重いテーブルを一人で持ち上げるとは、彼は力が強いに違いない。
She would be crazy to quit such a well-paid job.
あんな給料の良い仕事を辞めるなんて、彼女はどうかしているだろう。
It was rude of them to ignore your question.
あなたの質問を無視するとは、彼らは失礼だった。(of A to do)
He is talented to play the violin so beautifully at his age.
あの年齢であんなに見事にバイオリンを弾くとは、彼は才能がある。
They were silly to argue over something so trivial.
あんな些細なことで口論するなんて、彼らはばかげていた。
How thoughtful of her to bring me flowers when I was sick!
私が病気の時にお花を持ってきてくれるとは、彼女はなんて思いやりがあるんだ!(of A to do)
He can't be that busy to refuse even a short phone call.
短い電話さえ断るとは、彼がそこまで忙しいはずがない。
She is very considerate to always think of others' feelings.
いつも他人の気持ちを考えるとは、彼女はとても思いやりがある。
It was wrong of me to blame you without knowing the facts.
事実を知らずにあなたを責めるとは、私が間違っていた。(of A to do)
He must be very patient to teach those noisy children all day.
一日中あの騒がしい子供たちを教えるとは、彼はとても忍耐強いに違いない。
「感情の原因」の用法との違いは?
「感情の原因」と「判断の根拠」は、どちらも理由を表す点で似ていますが、少しニュアンスが異なります。
- 感情の原因:I am happy to hear the news. (その知らせを聞いて嬉しい) → 話者の「感情」の理由
- 判断の根拠:He is foolish to believe the news. (その知らせを信じるとは彼は愚かだ) → 話者の「判断」の理由
「判断の根拠」の用法では、話者の主観的な評価や推量が含まれることが多いです。