bring — 「持ってくる」と訳されるこの動詞は、`take`とセットで覚えなければならない、方向性が重要な動詞です。「`take`と`bring`、どっちを使えばいいの?」という疑問は、`go`と`come`の次に学習者がぶつかる大きな壁です。
このページでは、bringのコアイメージを深く理解し、最大の難関であるtakeとの使い分けを完璧にマスターします。もちろん、全ての例文に冠詞ルールの詳しい解説付きです!
bring も不規則動詞です。過去形と過去分詞形が同じ brought になることをしっかり覚えましょう。
活用形 | 形 | 例文(クリックで発音) |
---|---|---|
原形 (Base Form) | bring | Please bring your ticket. |
三単現形 (3rd Person Singular) | brings | Money doesn't always bring happiness. |
過去形 (Past) | brought | I brought some snacks. |
過去分詞形 (Past Participle) | brought | What have you brought? |
現在分詞形 (Present Participle) | bringing | Thank you for bringing me here. |
発音・スペル注意!: brought (bringの過去形)と、bought (buy「買う」の過去形)は非常に似ているので混同しないように注意しましょう!
bring をマスターする鍵は、take との対比でコアイメージを理解することに尽きます。
bring の本質は、物や人を伴って、会話の中心となっている場所(話し手か聞き手のいる場所)に向かって「近づいてくる」動きです。一方、take はその中心から「離れていく」動きでした。この方向性の違いが全てです。
状況:あなたが「リビング」にいて、子供が「子供部屋」にいます。
Please bring that book to me.
Please take your toys to the bedroom.
take away(持ち去る)とbring back(持ち帰る)という言葉を思い出すと、方向性の違いがイメージしやすくなります。
「近づいてくる」というコアイメージが、様々な状況でどのように使われるか見ていきましょう。
物理的に何かを携えて、話し手・聞き手のいる場所へ移動させる、最も基本的な使い方です。
例文:Did you bring your camera?
(カメラを持ってきましたか?)
your camera
- 「あなたの」という所有格でカメラが特定されているため、他の冠詞は付きません。
例文:She brought a friend to the party.
(彼女はパーティーに友人を一人連れてきた。)
a friend
- 「(特定の誰かではなく)ある一人の友人」なので不定冠詞`a`が付きます。the party
- 話題になっている特定のパーティーなので`the`が付きます。
幸運や災害、変化など、抽象的な結果を「(今の状況に)もたらす」という比喩的な使い方です。
例文:The new policy will bring a big change.
(その新しい政策は大きな変化をもたらすだろう。)
The new policy
- 「その新しい」と特定されている政策なので`the`。a big change
- 「一つの大きな変化」という、数えられる変化の単位として`a`が付きます。
例文:The storm brought heavy damage to the area.
(その嵐はその地域に甚大な被害をもたらした。)
The storm
- 話題の特定の嵐。heavy damage
- `damage`は通常、数えられない名詞(不可算名詞)なので冠詞は付きません。`heavy`はそれを修飾する形容詞です。the area
- 話題の特定の地域。
bringも会話で非常によく使われる句動詞を作ります。
例文:She was brought up in a small town.
(彼女は小さな町で育てられた。)
a small town
- 「(世の中にたくさんある中の)ある一つの小さな町」なので不定冠詞`a`が付きます。
例文:Don't bring up that topic again.
(その話題をまた持ち出さないで。)
that topic
- 「その」という指示詞で話題が特定されています。
例文:This music brings back happy memories.
(この音楽は幸せな記憶を呼び戻す。)
This music
- 指示詞で特定。happy memories
- `memory`は数えられる名詞で、ここでは複数形`memories`になっているため`a`は不要です。不特定の「たくさんの」記憶なので`the`も付きません。
例文:Technology has brought about dramatic changes in our lives.
(テクノロジーは我々の生活に劇的な変化をもたらした。)
Technology
- 一般論としての「科学技術」は不可算名詞なので冠詞は付きません。dramatic changes
- `change`は数えられる名詞で、ここでは複数形です。our lives
- 所有格で特定。
お疲れ様でした!bringの「方向性」を意識することの重要性が、お分かりいただけたでしょうか。
これからは、何かを「持つ」動きについて話すとき、「視点に対してどちらの方向へ動いているか?」を考える癖をつけてみてください。それが`take`と`bring`を完璧に使い分けるための、唯一にして最強のトレーニングです!