補足説明を加える「非制限用法」(カンマの魔法)

文の途中で「ちなみに、その人はね…」と情報を付け加える、洗練されたテクニックです。

限定用法 vs 非制限用法

これまで私たちが学んできた関係詞節は、前の名詞を「限定」して「〜な(名詞)」という意味を作る「制限用法」でした。`I have a son who lives in Tokyo.` は「(息子が何人かいる中で)東京に住んでいる息子が一人いる」というように、たくさんある可能性の中から一つに限定する働きをします。

今回学ぶのは、先行詞のうしろにカンマ (`,`) を打ち、「ちなみに〜」と補足的な情報を付け加える「非制限用法」です。これは、すでに特定されている名詞について、追加の説明をするときに使います。

非制限用法の3つの重要ルール

非制限用法には、絶対に守らなければならないルールが3つあります。

  1. 先行詞の後ろに必ずカンマ (`,`) を打つ
  2. 関係代名詞 `that` は使えない (`who` か `which` を使う)。
  3. 関係代名詞の省略はできない

非制限用法の使い方

先行詞が固有名詞(`Mr. Smith`, `Tokyo` など)や、`my father` のように、すでに特定されている人やモノの場合によく使われます。

`who` の非制限用法 (先行詞が「人」)

`which` の非制限用法 (先行詞が「人以外」や「文全体」)

💡 `which` の非制限用法は、直前の名詞だけでなく、前の文全体の内容を先行詞とすることができます。「そしてそのことは〜」と訳せ、非常に便利です。

まとめ

カンマ `,` がある関係詞節は、文の途中に挿入された「補足情報」であり、いったん脇に置いて考えても文が成立します。`that` は使えず、省略もできない、というルールをしっかり覚え、読解やライティングに活かしましょう。