ページ109 完了形と“何気ない奇跡”

「ただの日常。でも、そこには小さな奇跡があった」——完了形は、“今につながる偶然の重なり”をそっと描き出す。

The Same Train

Haru: You know, we’ve taken this same train for three years—and I never noticed you until last spring.

Mio: Really? I’d seen you before, but we’d never talked.

Haru: I’ve sat in the same seat every morning. It’s funny to think you were just a few rows away all that time.

Mio: Maybe we were both too sleepy to care.

Haru: Probably. But I’ve looked forward to the mornings since we started talking.

Mio: Me too. This train hasn’t changed—but it’s felt different ever since.

ストーリー和訳

ハル: 3年間ずっとこの電車乗ってたのに、君に気づいたのは去年の春だったんだよ。
ミオ: 本当に? 私は前から見かけてたけど、話したことはなかったね。
ハル: 毎朝ずっと同じ席に座ってたんだ。考えてみると、ずっと何列か先に君がいたんだよね。
ミオ: たぶん、二人とも眠すぎて気にしてなかったんだと思うよ。
ハル: たしかに。でも君と話すようになってから、朝が楽しみになったんだ。
ミオ: 私も。電車は同じなのに、ずっと違って感じてる。

We’ve taken this same train for three years.
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前からチャンク理解

"We’ve taken..."(私たちは乗り続けてきた)
→ "this same train..."(この同じ電車に)
→ "for three years."(3年間ずっと)

ネイティブの感覚

`We’ve taken` は「日常の中に自然に溶け込んでいた行動」を表現するのにぴったりの完了形。`for three years` によってその行動が今も続いていることを明示している。

(補足)文法的な説明

現在完了の「継続」用法。`take` の過去分詞は `taken`。`for + 時間` で過去から現在までの継続を示す。

I’ve sat in the same seat every morning.
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前からチャンク理解

"I’ve sat..."(座ってきたんだ)
→ "in the same seat..."(同じ席に)
→ "every morning."(毎朝)

ネイティブの感覚

`I’ve sat` によって、過去の習慣が今にもつながっている印象を与える。「何気ないけど繰り返されてきた」ことの重みを完了形が支える。

(補足)文法的な説明

現在完了の「反復された行動」用法。`every morning` という頻度表現と一緒に使うことで、継続的な習慣を表す。

I’ve looked forward to the mornings since we started talking.
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前からチャンク理解

"I’ve looked forward..."(楽しみにしてきたんだ)
→ "to the mornings..."(朝が来るのを)
→ "since we started talking."(君と話すようになってから)

ネイティブの感覚

`since we started talking` という過去の始点から今まで、「ずっと楽しみだった」という心の動きが完了形によって優しく表現されている。

(補足)文法的な説明

現在完了「継続」用法。`since + 過去の出来事` は、そこを起点とした現在までの状態を描くのに使う。`look forward to` は動名詞とセットで用いる表現。