ページ123 完了形と“つながっていた証”

「言葉は交わさなくても、たしかに通じ合っていた」——完了形は、“過去の共有”が今に残した絆を描き出す。

The Way We Understood Each Other

Sora: We’ve never really said it, have we?

Tomo: Said what?

Sora: That we’ve always known what the other was thinking.

Tomo: Yeah. We’ve had whole conversations without a word.

Sora: I’ve felt closer to you in silence than I have with anyone else in noise.

Tomo: I think... we’ve been listening to the same silence all along.

ストーリー和訳

ソラ: 僕ら、一度も言葉にしたことなかったよね。
トモ: 何を?
ソラ: お互いが何を考えてるか、いつも分かってたってこと。
トモ: うん。言葉なしで、ずっと会話してた気がする。
ソラ: 君との沈黙の方が、誰かとの賑やかさよりずっと近くに感じたよ。
トモ: たぶんね…僕ら、同じ沈黙をずっと聴いてたんだと思う。

We’ve never really said it, have we?
この文の感覚を掴む

前からチャンク理解

"We've never really said it..."(それを言ったこと、なかったよね)
→ "have we?"(だよね?)

ネイティブの感覚

`never said` に「ずっと言わずにいた」というニュアンスが込められている。`have we?` が、そっと確認するような親密なトーンを作っている。

(補足)文法的な説明

現在完了「経験」用法の否定形。`never + have + 過去分詞` は「一度も〜していない」経験の欠如を表す。

We’ve had whole conversations without a word.
この文の感覚を掴む

前からチャンク理解

"We've had whole conversations..."(丸ごとの会話を交わしてきた)
→ "without a word."(一言も発さずに)

ネイティブの感覚

完了形によって「繰り返し」や「蓄積された静かな会話」が今につながっている感覚になる。沈黙の中の深い共有体験を自然に表現する。

(補足)文法的な説明

現在完了「経験」用法。`have had` は、過去から現在までに複数回あった出来事の蓄積を表す。

I’ve felt closer to you in silence than I have with anyone else in noise.
この文の感覚を掴む

前からチャンク理解

"I've felt closer to you..."(あなたにより近く感じてきた)
→ "in silence..."(静けさの中で)
→ "than I have with anyone else in noise."(誰よりも、騒がしさの中の他人より)

ネイティブの感覚

静けさの中にある絆。`have felt` が「ずっと感じ続けてきた」繊細な感情の流れを、比較表現によってさらに浮き立たせている。

(補足)文法的な説明

現在完了「継続・経験」用法 + 比較表現(than I have with ~)。抽象的な対比を成立させる構文。