ページ117 完了形と“受け継がれる意志”

「誰かが信じ続けてきたことが、今の私を動かしている」——完了形は、“積み重ねられた想い”を今の行動につなぐ。

Legacy of Belief

Sora: Do you remember what your grandfather stood for?

Yui: He believed in justice. Always. He’s held that belief all his life.

Sora: And now you’ve carried it on.

Yui: I’ve tried. I’ve followed in his footsteps, even when I wasn’t sure it was right.

Sora: But that doubt makes your belief even stronger.

Yui: Maybe. But I know I’ve never walked this path alone.

ストーリー和訳

ソラ: おじいさんが大切にしていたこと、覚えてる?
ユイ: 正義を信じてた。いつでも。彼はずっと、その信念を持ち続けていたよ。
ソラ: そして今、それを君が受け継いでる。
ユイ: そうあろうとしてきた。迷いながらも、彼の足跡を辿ってきたよ。
ソラ: その迷いがあるからこそ、君の信念は深くなるんだ。
ユイ: そうかもね。でも一つだけ言えるのは、私はこの道をひとりで歩いてきたわけじゃないってこと。

He's held that belief all his life.
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前からチャンク理解

"He's held that belief..."(彼はその信念を持ち続けてきた)
→ "all his life."(彼の人生ずっと)

ネイティブの感覚

`held` は「握っていた」「離さなかった」という意志の強さを含む。完了形でそれが「今まで続いてきた」ことを自然に伝える。

(補足)文法的な説明

現在完了「継続」用法。`all his life` は長い期間の継続を示し、完了形との相性が非常によい。

I’ve followed in his footsteps, even when I wasn’t sure.
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前からチャンク理解

"I’ve followed in his footsteps..."(私は彼の足跡を辿ってきた)
→ "even when I wasn’t sure."(確信がなかったときでさえ)

ネイティブの感覚

`follow in someone's footsteps` は「尊敬する人と同じ生き方をする」という表現。完了形を使うことで、その選択が“今の自分”にどうつながっているかを伝える。

(補足)文法的な説明

現在完了「経験と影響」用法。迷いながらも続けてきたことの蓄積を語る場面でよく使われる。

I’ve never walked this path alone.
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前からチャンク理解

"I’ve never walked..."(私は一度も歩いたことがない)
→ "this path alone."(この道をひとりで)

ネイティブの感覚

過去からずっと「誰かの存在」を感じながら歩んできた人生。それを `never` と完了形で表すことで、「ずっと支えられてきた自分」を優しく表現している。

(補足)文法的な説明

現在完了「経験否定」用法。`never + 過去分詞` によって「一度も~したことがない」経験の不在を表す。