ページ115 完了形と“戻らない場所”

「今はもうそこにはいない」——完了形は、“かつてそこにいた時間”と“もう戻れない現実”を同時に抱える。

That Station

Mina: I haven’t been back here in years.

Riku: Really? It looks the same to me.

Mina: The station hasn’t changed, but I have.

Riku: You've grown up. Maybe too much.

Mina: I’ve left so many things behind on this platform.

Riku: And yet, something always brings you back, doesn’t it?

ストーリー和訳

ミナ: ここに来るの、何年ぶりだろう。
リク: そう? 俺には全然変わってないように見えるけど。
ミナ: 駅は変わってない。でも、私のほうが変わったんだよ。
リク: 大人になったよな。ちょっと、なりすぎかもな。
ミナ: このホームに、いろんなもの置いてきた気がする。
リク: でも、何かが君をまたここに連れてくるんだよな。不思議と。

I haven’t been back here in years.
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前からチャンク理解

"I haven’t been back here..."(ここに戻ってきたことがない)
→ "in years."(何年もずっと)

ネイティブの感覚

`haven’t been` によって「不在であった時間の蓄積」を表す。`in years` の強調で「もう長い間戻っていない」という距離感・喪失感を際立たせる。

(補足)文法的な説明

現在完了「継続的な不在」表現。`in years` は否定文で使うと「長年にわたってずっと〜していない」の意味を強調する。

The station hasn’t changed, but I have.
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前からチャンク理解

"The station hasn’t changed..."(駅は変わっていない)
→ "but I have."(でも私は変わった)

ネイティブの感覚

完了形の比較により、「場所の静止」と「人の変化」が際立つ。`I have` の省略構文が、感情の深さと余韻を残す。

(補足)文法的な説明

現在完了「変化」用法。`have changed` が省略されて `I have` だけで意味が通じるパターン。

I’ve left so many things behind on this platform.
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前からチャンク理解

"I’ve left..."(私は置いてきた)
→ "so many things behind..."(たくさんのことをこの場所に)
→ "on this platform."(このホームの上に)

ネイティブの感覚

過去の思い出や決断、感情の痕跡を表す比喩的な表現。`have left` によって「過去の行為が今も自分にとって意味を持っている」ことを示す。

(補足)文法的な説明

現在完了「結果」用法。`leave behind` は物理的・心理的な「置き去り」を表すイディオム。