ページ81 完了形と“まだ終わっていない物語”

「終わったと思っていた。でも、まだ終わっていなかった」——完了形は、物語の“続き”を感じさせる余韻をつくる。

It’s Not Over

Ren: I thought we had reached the end. I really did.

Kaori: So did I. But something hasn’t felt complete.

Ren: I’ve tried to move on. I’ve even told myself it’s over.

Kaori: I’ve kept your letters. I’ve read them more times than I can count.

Ren: I’ve written new ones. Ones I never sent.

Kaori: Then maybe... this story hasn’t finished yet. Maybe it still wants to be told.

ストーリー和訳

レン: もう終わったって思ってたんだ。本当にそう信じてた。
カオリ: 私も。でも…どこか、終わってない気がしてた。
レン: 忘れようとしたよ。もう終わりだって自分に言い聞かせた。
カオリ: 君の手紙、ずっと取ってある。もう何回読んだか分からないくらい。
レン: 僕も新しい手紙を書いた。だけど、送らなかったんだ。
カオリ: じゃあ、きっと…この物語はまだ終わってないんだよ。まだ語られるのを待ってるのかもしれない。

I’ve tried to move on.
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`have tried` × “忘れようとした”努力
「何度も忘れようと努力してきた」ことを表す完了形。未完了の試みの連続を感じさせる。

I’ve kept your letters.
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`have kept` × 今も捨てられない過去
「今でも持っている=手放せない」ことを語る完了形。思い出にすがる感情の持続が表現される。

I’ve written new ones.
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`have written` × 今まで伝えられなかった言葉
書いてきたけど送れなかった手紙。それらが語られてこなかった気持ちの存在を、完了形が静かに示す。

This story hasn’t finished yet.
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完了否定 + yet × 物語の“続き”
「まだ終わっていない」という現在進行形の物語性を、“完了していない”という文法構造で伝える。余韻と希望が含まれる。