ページ77 完了形と“変わり続ける世界の中で”

「すべてが変わっても、変わらず大切なものがある」——完了形は、変化を見つめ続けてきた視点を支える。

Everything Has Changed

Kai: This street... it doesn’t look like it used to.

Mira: No. They’ve rebuilt everything. The café is gone, the bookstore too.

Kai: I’ve walked here so many times. It used to feel like home.

Mira: I’ve felt the same. Every change has felt like a piece of memory fading away.

Kai: But you’re still here. That hasn’t changed.

Mira: And I’ve held on to that more than anything.

ストーリー和訳

カイ: この通り…昔の面影がまったくないね。
ミラ: うん。全部建て替えられたの。あのカフェも、あの本屋ももうない。
カイ: 僕、ここを何度も歩いたよ。あの頃はここが“帰る場所”だった。
ミラ: 私も同じ気持ちだった。変わるたびに、大切な記憶が少しずつ薄れていくようだった。
カイ: でも君は、まだここにいる。それだけは変わらなかった。
ミラ: だから私は、それだけは何よりも大事にしてきたの。

They’ve rebuilt everything.
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完了形 × 変化の現在完了
“再建された”という出来事が、現在の状態に直接つながっている。「今、何もかもが変わってしまった」ことを表す。

I’ve walked here so many times.
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`have walked` × 継続の記憶
「何度もここを歩いてきた」という過去の積み重ねが、今の“違和感”や“喪失感”と強く対比される。

Every change has felt like a piece of memory fading.
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`has felt` × 続く喪失の感覚
変わるたびに「記憶が薄れていくように感じてきた」という表現。完了形で、その繰り返しが今に至るまで続いてきたことを伝える。

I’ve held on to that more than anything.
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`have held on` × 心の拠り所の継続
「それだけはずっと手放さなかった」という強い意志。変わる世界の中で、完了形が唯一の不変を象徴する。