ページ74 否定を伴う肯定

`none the` + 比較級 + `for`

An Old Classic (古い名作)

I recommended an old black-and-white film to my younger friend. He was skeptical. "Isn't it boring?" he asked. I assured him that the story was none the less exciting for being old. The acting is superb, and the message is timeless.

The film is quite long, but it is none the worse for its length. Every scene is important. After watching it, my friend agreed. "It was amazing," he said. "And the simple fact that it was made so long ago makes it none the less impressive."

本文の和訳

私は若い友人に、古い白黒映画を勧めた。彼は懐疑的だった。「退屈じゃないの?」と彼は尋ねた。私は、物語は古いからといって少しも面白さが損なわれることはないと彼に請け合った。演技は素晴らしく、メッセージは時代を超越している。

その映画はかなり長いが、その長さのせいで少しも悪くなってはいない。すべてのシーンが重要だ。観終わった後、友人は同意した。「すごかったよ」と彼は言った。「そして、そんなに昔に作られたという単純な事実が、それを少しも色褪せさせていないね。」

The story was none the less exciting for being old.
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前からチャンク理解

"The story was none the less exciting..." (その物語は少しも面白さが損なわれなかった…)
→ "...for being old." (古いことによって)

ネイティブの感覚

`none the` + 比較級 + `for` は、「〜という理由にもかかわらず、少しも…ない」という意味の、洗練された表現です。一般的にマイナスと思われがちな要因 (`for being old`) を挙げ、しかしその要因が本来の価値(面白さ)を「少しも損なっていない」と主張します。「古いけれど、それでもなお面白い」という逆接のニュアンスを、より力強く、上品に表現できます。

The film is none the worse for its length.
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"The film is none the worse..." (その映画は少しも悪くなっていない…)
→ "...for its length." (その長さのせいで)

ネイティブの感覚

`none the worse for ...` は、「〜にもかかわらず、少しも悪くなっていない」という決まり文句です。「長い」ことは普通、映画の欠点と見なされがちですが、この映画に限っては、その長さが価値を損なっていない、と弁護しています。潜在的な批判を先取りし、それに反論するような効果があります。

The fact makes it none the less impressive.
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"The fact makes it..." (その事実はそれを〜にしている…)
→ "...none the less impressive." (少しも色褪せさせない)

ネイティブの感覚

`for` を使わずに、文脈から理由が明らかな場合もあります。ここでの `The fact` は「昔に作られた」という事実を指します。その事実があるにもかかわらず、その映画の素晴らしさ(impressive)が少しも損なわれていない、と述べています。

He is none the happier for all his wealth.
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前からチャンク理解

"He is none the happier..." (彼は少しも幸せではない…)
→ "...for all his wealth." (彼の全ての富にもかかわらず)

ネイティブの感覚

この構文は、皮肉な意味合いで使われることもあります。`for all his wealth` は「あれだけの富があるにもかかわらず」という意味です。「富があれば幸せになれる」という一般的な期待に反して、「彼は少しも幸せになっていない」という事実を強調しています。期待と現実のギャップを示す、文学的な響きを持つ表現です。