主格代名詞

「私、あなた、彼、彼女…」会話の主役たちを表すのが「主格代名詞」です。
スペイン語の面白いところは、相手との心の距離敬意によって「あなた」の言い方が変わること。この使い分けができると、あなたのスペイン語はぐっと自然で、礼儀正しいものになります!

主格代名詞 全メンバー紹介

まずはスペイン語の主格代名詞、全メンバーの顔ぶれを見てみましょう。

単数 (一人)複数 (二人以上)
1人称 (私) yo nosotros / nosotras (私たち)
2人称 (あなた) (親しい), usted (丁寧) vosotros / vosotras (親しい), ustedes (丁寧)
3人称 (彼/彼女) él (彼), ella (彼女) ellos / ellas (彼ら/彼女ら)

最重要ポイント:「あなた」の使い分け (tú vs. usted)

ここが最初の大きな関門です。「あなた」を表す言葉が2つあります。使い分けの鍵は「相手との心の距離」です。

tú (親しい「君・あなた」)

日本語の「タメ口」のような感覚です。心の距離が近い相手に使います。

  • 友達、同僚、同級生
  • 家族、恋人
  • 子供、自分より年下の人

動詞の活用は2人称単数を使います。

例文: ¿Tú de dónde eres? (君はどこの出身?)

usted (丁寧な「あなた」)

日本語の「敬語」の感覚です。敬意を示したい相手、距離を置きたい相手に使います。

  • 初対面の人、目上の人
  • 先生、上司、お客様
  • お年寄り

⚠️超重要:意味は「あなた」ですが、動詞の活用は3人称単数 (él/ellaと同じ) を使います。相手に敬意を払い、一歩引いた形で話すイメージです。

例文: ¿Usted de dónde es? (あなたはどちらのご出身ですか?)

迷ったときは?
初対面で迷ったら、まず usted を使っておけば絶対に失礼になりません。相手から「túで話していいよ」と言われたら、親しみを込めて切り替えましょう。

複数の「あなた達」の使い分け (vosotros vs. ustedes)

複数の「あなた」にも親しい形と丁寧な形がありますが、これは住んでいる地域によって使い方が全く異なります。

🇪🇸 スペインでの使い分け

スペインでは、単数の usted の関係が、そのまま複数形になります。

🌎 ラテンアメリカでの使い分け

ここが最重要! ラテンアメリカのほとんどの国では、vosotros使いません。

相手が友達のグループでも、先生方でも、複数の「あなた」は常に ustedes を使います。

動詞の活用も、常に3人称複数 (ellos/ellasと同じ)です。

学習のポイント:自分が主に話したい相手がスペインにいるのか、ラテンアメリカにいるのかで、vosotros を学ぶ優先順位を決めると効率的です。

おまけ:主語はいつ使うの?

「動詞の活用で主語は省略できる」ことが多いのですが、あえて主語を言う時もあります。それは、主に以下の3つの場合です。

  1. 強調したい時:「他の誰でもなく、私が!」のように言いたい時。
    例文: Yo no sé, pero él sí sabe. (私は知らないけど、彼は知っている。)
  2. 誰のことか明確にしたい時:文脈だけだと誰か分からない時。
    例文: Él es de México y ella es de Perú. (彼はメキシコ出身で、彼女はペルー出身です。)
  3. 対比・比較する時:
    例文: Tú eres estudiante, pero yo soy profesor. (君は学生だけど、私は先生だ。)