補足説明を加える「非制限用法」(カンマの魔法)

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文の途中で「ちなみに、その人はね…」と情報を付け加える、洗練されたテクニックです。

限定用法 vs 非制限用法:意味がどう変わる?

これまで私たちが学んできた関係詞節は、前の名詞を「限定」して「〜な(名詞)」という意味を作る「制限用法」でした。`Mi hermano que vive en Barcelona` は「(他に兄弟がいる中で)バルセロナに住んでいる方の兄」というように、範囲を絞り込む働きをします。

今回学ぶのは、先行詞のうしろにカンマ (`,`) を打ち、「ちなみに〜」と補足的な情報を付け加える「非制限用法」です。これは、固有名詞や `mi padre` のように、すでに特定されている名詞について、追加の説明をするときに使われます。

【制限用法】(カンマなし)→ 特定の誰か・何かを「限定」する

Mi hermano que vive en Barcelona es médico.

(私の兄弟の中で、バルセロナに住んでいる兄は医者です。→ 大阪に住んでいる弟もいる、など他の兄弟がいる可能性を示唆)


【非制限用法】(カンマあり)→ 「補足情報」を付け加える

Mi hermano, que vive en Barcelona, es médico.

(私の兄は、ちなみに彼はバルセロナに住んでいますが、医者です。→ 話の主題は「兄は医者」。兄は一人であると推測される)

非制限用法のルールと使い方

非制限用法では、`que`, `quien(es)`, `el cual/la cual...` (el queのフォーマル版), `donde` などが使われます。英語と違い、`que` も使えるのが特徴ですが、`quien` や `el cual` の方が好まれる傾向にあります。

文全体を受ける `lo que` と `lo cual`

非制限用法の最も便利な使い方の一つが、カンマの後に `lo que` または `lo cual` を置いて、前の文全体の内容を指し示す用法です。「そしてそのことは〜」という意味を表します。

まとめ

カンマつきの関係詞節は、文の途中に挿入された「おまけの補足情報」だと考えましょう。特に、前の文全体の内容を受けて感想や結果を述べることができる `lo que`/`lo cual` は、自分の意見を表現する際に非常に強力なツールとなります。