評論文対策問題 112(本文1200字・設問3問×選択肢5+英訳)

本文(抜粋)

不安はできるだけ感じたくない感情の一つだ。
試験の前、人前で話す前、将来を考えたとき──
心が落ち着かず、ざわざわと波立つ感覚に悩まされる。
だからこそ、現代では「不安を解消する方法」や「不安をなくす思考法」が注目されている。
だが、不安とは本来、排除すべき“敵”なのだろうか。
むしろ、それは私たちが「何かを大切にしている」からこそ生まれる感情ではないか。
大切だからこそ、失敗したくない。
大切だからこそ、未来が気になる。
不安は、そうした思いや関心の“裏返し”として現れる。
つまり、不安があるということは、自分にとって何が重要かを知る手がかりにもなるのだ。
また、不安は、行動を促す力にもなる。
不安だからこそ準備をし、不安だからこそ対策を考える。
それは、ただ楽観的に「大丈夫」と思い込むこととは違う、
より現実的で、地に足のついた姿勢でもある。
不安が大きすぎるときは、たしかに苦しさを伴う。
だがそれでも、「不安を抱えながら考える力」は、
未来を真剣に見つめるために不可欠なのではないだろうか。

【設問1】筆者の主張として最も適切なものはどれか。

  1. 不安は無意味な感情なので、完全になくすべきだ。
  2. 不安があることは、関心や大切にしているものがある証でもある。
  3. 不安に悩む人は、思考力が不足している可能性が高い。
  4. 不安の克服には、感情を無視することが必要である。
  5. 不安を感じることは、自信のなさの表れにすぎない。

【設問2】本文に照らして正しいものはどれか。

  1. 不安は論理的思考を阻害するため、排除すべきである。
  2. 不安は、準備や行動を促す機能を持っている。
  3. 不安を減らすには、将来について考えないのが最善である。
  4. 不安を感じない人ほど、現実的である。
  5. 不安は心の成長を妨げる感情である。

【設問3】筆者の態度として最も適切なものはどれか。

  1. 不安を否定せず、向き合いながら考える姿勢を重視している。
  2. 不安は一時的なものであり、深く捉える必要はないと考えている。
  3. 不安に強く反応する人を、感情的すぎると批判している。
  4. 不安を乗り越えるためには、他人との比較が有効だと述べている。
  5. 不安は感情ではなく誤った認知の結果にすぎないと見なしている。
【正解と解説】

語句説明:
裏返し:ここでは「ある感情が、別の感情と表裏一体であること」。例:不安は関心の裏返し。

レベル:共通テスト対策(1200字・設問3)|更新:2025-07-23|問題番号:112


【本文の英訳(要約)】

Anxiety isn’t the enemy—it’s care in disguise. What we fear losing shows what we value. To feel anxious is to be honest about what matters. Don’t erase it. Walk with it.