古文対策問題 100(源氏物語「夕顔」長文)
【本文】
いと暑き日、光源氏、夕暮れの市にて、名も知らぬ女に出会ひ給ふ。
かの女、垣根のもとに白き花をかかげ、「夕顔」と名乗りて、源氏にほほ笑みぬ。
源氏、かの女を車に誘ひて、しばし逢瀬を楽しみ給ふ。
されど、女ははかなき運命にて、源氏のもとにて急死す。
源氏、深く悲しみて、その死を惜しみ、名もなき花「夕顔」を折りて涙ぐみ給ふ。
【現代語訳】
とても暑い日、光源氏は夕暮れの市で、名も知らぬ女性と出会った。
その女性は垣根のそばに白い花を手にして「夕顔」と名乗り、源氏にほほえんだ。
源氏はその女性を車に誘い、しばしの逢瀬を楽しんだ。
しかし、女性ははかない運命により、源氏のもとで急死してしまった。
源氏は深く悲しみ、その死を惜しみながら、名もなき花「夕顔」を手折って涙した。
【覚えておきたい知識】
文学史・古文常識:
- 作者:紫式部(むらさきしきぶ)。平安中期の女流物語作家。
- 作品:『源氏物語』。全五十四帖の長編物語。「夕顔」はその一帖。
- 夕顔:源氏が名も知らぬ女性と短い恋をし、その女性が急死する物語。
- 逢瀬:男女の密かな逢い引き。
重要古語・語句:
- 垣根:庭の仕切りの柵。
- かかぐ:手に持つ、掲げる。
- 逢瀬:男女が会うこと。
- はかなき:はかない、短い。
- 惜しむ:残念に思う、悲しむ。
【設問】
【問1】光源氏が「夕顔」と出会った場面として本文内容に最も合うものを一つ選べ。
- 夕暮れの市で、垣根のそばに花を手にした女に出会った
- 都の宮中で歌会があった
- 山の寺で法要が開かれていた
- 雨の夜に舟に乗っていた
- 旅の道中で宿を借りた
【問1 正解と解説】
正解:1
「夕暮れの市」「垣根のもとに白き花をかかげ」と本文にある。
【問2】夕顔の女性が源氏に何を示したか、本文内容に最も合うものを一つ選べ。
- 白い花とともに自らの名を告げてほほ笑んだ
- 手紙を渡した
- 和歌を詠んだ
- 扇を広げた
- 舞を舞った
【問2 正解と解説】
正解:1
「白き花をかかげ、『夕顔』と名乗りて、源氏にほほ笑みぬ」とある。
【問3】夕顔の女性が急死したことで源氏が取った行動として本文内容に最も合うものを一つ選べ。
- 名もなき花を折り、涙した
- すぐに旅に出た
- 都に戻った
- 和歌を詠んだ
- 宴を開いた
【問3 正解と解説】
正解:1
「名もなき花『夕顔』を折りて涙ぐみ給ふ」とある。
【問4】『源氏物語』の特徴や意義として最もふさわしいものを一つ選べ。
- 全五十四帖から成る長編物語で、光源氏の波乱の人生と多彩な女性たちとの関係を描く
- 武士の活躍を描く軍記物語である
- 仏教説話中心の説話集である
- 都の四季を描いた和歌集である
- 農民の生活を記す日記文学である
【問4 正解と解説】
正解:1
『源氏物語』は全五十四帖から成る長編物語で、光源氏の人生と女性たちの関係が主題。