第2章 第7節: 「これ」「あれ」って指さそう ~指示代名詞/指示詞~
指さし確認!「指示詞」ってどんな言葉?
みんな、会話の中で「これ見て!」とか「あの角を曲がって」みたいに、何かを指し示しながら話すことってよくあるよね。このように、特定の人や物、場所、事柄などを指し示す言葉を「指示詞(しじし)」って言うんだ。その中でも名詞の代わりに使われるものを「指示代名詞」、名詞を説明するものを「指示形容詞」と呼んだりもするよ。(エスペラントではまとめて指示詞と呼ばれることが多いかな)
英語だと "this", "that", "these", "those" があるけど、エスペラントの指示詞はもっと規則的で、面白い仕組みがあるんだ。これをマスターすれば、「あれは何?」「この本が好き!」みたいに、具体的なものについて話せるようになるよ!
(実は、指示詞はエスペラントの「相関詞(ターベルヴォルトイ)」という、とっても便利なシステムの仲間なんだけど、その全貌はB1レベルのお楽しみ!ここではまず、よく使う基本的な指示詞を覚えよう!)
基本の指示詞:「それ/あれ」「その/あの」
-
tio (ティーオ)
- それ、あれ(漠然とした事柄や物を指す代名詞)
Kio estas tio?
あれは何ですか?
Tio estas bona ideo!
それは良い考えですね!
-
tiu (ティーウ)
- その、あの(特定の人や物を指す。形容詞的にも代名詞的にも使われる)
Tiu domo estas granda.
あの家は大きいです。(形容詞的)
Kiu estas tiu?
あの人は誰ですか?(代名詞的)
Mi ŝatas tiun ruĝan pomon.
私はあの赤いリンゴが好きです。(形容詞的、対格)
tiu
が形容詞として名詞pomon
を修飾しているので、pomon
に合わせて対格の-n
がついてtiun
になっているね!
近くのものを指す魔法:ĉi (チ)
「あれ (tio)」や「あの (tiu)」みたいに、少し離れたものを指す言葉の前に ĉi (チ) という短い言葉を置くと、なんと「これ」や「この」のように、近くのものを指す意味に変わるんだ!これもエスペラントの面白いルールだよ。
遠いもの (Tio/Tiu) | 近いもの (Ĉi tio / Ĉi tiu) |
---|---|
tio (あれ/それ) | ĉi tio (これ) |
tiu (あの/その) | ĉi tiu (この) |
Kio estas ĉi tio?
これは何ですか?
Ĉi tiu libro estas mia.
この本は私のです。
Mi prenas ĉi tiun.
私はこれ(このもの)を取ります。(代名詞的、対格)
おまけ:場所を指す言葉と ĉi
ĉi は場所を表す言葉にもつけられるよ。
- tie (ティーエ) - あそこに、そこで
→ ĉi tie (チ ティーエ) - ここに、ここでMi loĝas ĉi tie. (私はここに住んでいます。) - tien (ティーエン) - あそこへ
→ ĉi tien (チ ティーエン) - ここへVenu ĉi tien! (ここへ来なさい!)場所の副詞 tie に方向を示す対格 -n がつくと tien (あそこへ) になるんだ。これに ĉi をつけると ĉi tien (ここへ) になるよ。
指示詞も「おそろい」が好き! ~複数形と対格との一致~
tiu (その/あの) や ĉi tiu (この) が名詞を説明するとき(形容詞的な使い方)、説明される名詞に合わせて、複数形 (-j) や対格 (-n) の語尾がつくんだ。(tio や ĉi tio は代名詞なので、普通は複数形や対格にはならないよ。)
複数形 (`-j`) との一致
説明する名詞が複数形なら、tiu → tiuj (ティーウイ)、ĉi tiu → ĉi tiuj (チ ティーウイ) になるよ。
Tiuj domoj estas grandaj.
あれらの家々は大きいです。
Mi ŝatas ĉi tiujn florojn.
私はこれらの花が好きです。(対格にもなっているね! florojn に合わせて ĉi tiujn に)
対格 (`-n`) との一致
説明する名詞が対格なら、tiu → tiun (ティーウン)、ĉi tiu → ĉi tiun (チ ティーウン) になるよ。
Ĉu vi vidas tiun birdon?
あなたはあの鳥が見えますか?
Mi prenis ĉi tiun sakon.
私はこのカバンを取りました。
複数対格 (`-jn`) との一致
名詞が複数対格なら、tiu → tiujn (ティーウイン)、ĉi tiu → ĉi tiujn (チ ティーウイン) になるよ。
Li aĉetis tiujn librojn hieraŭ.
彼は昨日あれらの本を買いました。
Ni manĝos ĉi tiujn kukojn.
私たちはこれらのケーキを食べるでしょう。
kuko
- ケーキ
まとめ:指示詞でコミュニケーションを具体的に!
指示詞 tio, tiu と、近称の ĉi を組み合わせることで、「これ」「あれ」「この」「あの」を使い分けられるようになったね!場所を示す tie や ĉi tie も便利だ。
そして、形容詞と同じように、tiu や ĉi tiu が名詞を説明するときは、名詞に合わせて複数形(-j)や対格(-n)の形に変化することも忘れないでね。
これらの指示詞を使いこなせれば、目の前にあるものや話題の中心になっているものを正確に指し示して、よりスムーズで具体的なコミュニケーションができるようになるよ!