補足編①:移動の動詞を極める!〜多様な接頭辞の世界〜

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補足編①:移動の動詞を極める!〜多様な接頭辞の世界〜

Здравствуйте! ここからは補足・応用編です。

第35回で、移動の動詞に `при-`(到着)や`у-`(去る)といった接頭辞を付けることで、より具体的な動きを表せることを学びました。実は、ロシア語の移動の動詞は、他の様々な接頭辞と組み合わせることで、まるでレゴブロックのように多彩な意味を生み出すことができます。今回は、よく使われる他の接頭辞を学び、移動の表現を極めましょう。接頭辞が付くと必ず「不完了体/完了体」のアスペクトのペアが生まれる、というルールも復習しましょう。

`под-` (接近) と `от-` (離脱)

`подходить / подойти`:「〜に近づく」
ある対象物に向かって近づいていく動きを表します。「〜に」の部分は前置詞 `к` + 与格で示します。

例文

Я подошёл к окну. (私は窓に近づいた。) - 完了体

Не подходи ко мне! (私に近づくな!) - 不完了体命令形

`отходить / отойти`:「〜から離れる」
ある対象物から離れていく動きを表します。「〜から」の部分は前置詞 `от` + 生格で示します。

例文

Поезд отошёл от станции. (電車は駅から離れた。) - 完了体

Она отошла от него. (彼女は彼から離れていった。) - 完了体

`до-` (到達) と `про-` (通過)

`доходить / дойти`:「〜まで到達する」
目的地に「まで」たどり着く、という達成のニュアンスを持ちます。「〜まで」は前置詞 `до` + 生格です。

Мы дошли до музея за час. (私たちは1時間で博物館まで着いた。)

`проходить / пройти`:「〜を通り過ぎる、通過する」
何かのそばを通り過ぎる動きを表します。

Мы прошли мимо театра. (私たちは劇場のそばを通り過ぎた。)

`пере-` (横断・移動)

`переходить / перейти`:「〜を横切る、渡る」
道や川などを横切る動きを表します。

Нужно перейти улицу здесь. (ここで通りを渡る必要があります。)

Мы переехали в новый дом. (私たちは新しい家に引っ越しました。) - `переехать` (乗り物での移動)


今回のまとめ

接頭辞を組み合わせることで、移動の動詞が持つ表現の可能性は無限に広がります。

  1. 接頭辞は、移動に「方向」や「ニュアンス」を与える。(`под-`:接近, `от-`:離脱など)
  2. 接頭辞が付いた移動の動詞は、必ず「不完了体/完了体」のアスペクトのペアを持つ。

動詞の原形と接頭辞の意味を知っていれば、知らない単語でも意味を推測できるようになります。これがロシア語の語彙を増やす鍵の一つです。

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