Lesson 73: 文語表現・硬い表現の理解 - (受動態の多用、名詞化、複雑な修飾など)
Lesson 73 へようこそ!挿入や句読点といった、文のリズムとバランスを整える技術を学びましたね。 今回は、C2レベルの英語で頻繁に目にする「文語表現(ぶんごひょうげん)」や「硬い表現」と呼ばれるものの特徴と、その読解・作成のポイントについて学びます。 これらは、学術論文、公的な報告書、法律文書、格調高いスピーチなど、フォーマルな文脈でよく使われます。
文語表現・硬い表現の主な特徴
口語(話し言葉)に比べて、文語(書き言葉、特にフォーマルなもの)には以下のような特徴が見られることがあります。
1. 受動態の多用 (Frequent use of the passive voice)
行為者よりも行為やその対象を強調したい場合や、客観性を持たせたい場合に、受動態が好まれます (Lesson 25-27参照)。
It is considered important that I take it. (私がそれを取ることは重要だと考えられている。)
(能動態なら: People consider it important that I take it.)
この例文では、誰が「考えている」のかを明示せず、一般的な見解として客観的に述べています。
2. 名詞化 (Nominalization) の多用
動詞や形容詞で表現できる内容を、あえて名詞(特に動詞から派生した抽象名詞)を使って表現する傾向があります (Lesson 59参照)。これにより、文がより簡潔で客観的、かつ抽象的な響きを持ちます。
My taking of it requires careful consideration. (私がそれを取ることは、慎重な考慮を必要とする。)
(動詞中心なら: When I take it, I must consider it carefully.)
「私がそれを取ること」という行為が「My taking of it」という名詞句で表現され、それが「慎重な考慮 (careful consideration)」を「必要とする (requires)」という、より抽象的でフォーマルな言い方になっています。
3. 複雑な修飾構造 (Complex modification)
名詞を修飾するために、前置詞句、分詞句 (Lesson 34-36参照)、不定詞句 (Lesson 29参照)、関係詞節 (Lesson 40-42参照) などが幾重にも重なって使われることがあります。
The decision to take it, made by me after careful thought, was final.
「それを取るという決定で、私が熟慮の末に下したものは、最終的なものだった。」
「The decision」という名詞に対して、
- 「to take it」(不定詞句:~するという決定)
- 「made by me after careful thought」(過去分詞句:私が熟慮の末に下した~)
4. 長く複雑な文構造 (Long and complex sentence structures)
従位接続詞 (Lesson 47, 61参照) や接続副詞 (Lesson 70参照) を用いて、多くの節が論理的に結びつけられた、一文が長くなる傾向があります。
5. 抽象的な語彙や専門用語の使用 (Use of abstract vocabulary and jargon)
具体的な言葉よりも、より一般的で抽象的な言葉が選ばれたり、特定の分野の専門用語が使われたりします。 (私たちの例文では、特殊ルールのため語彙は限定されていますが、実際の文語表現ではこの傾向が顕著です。)
✨ ミラクル先生のちょっと一言:文語表現を読み解くコツ ✨
文語表現や硬い文章を読むときは、以下の点を意識すると理解しやすくなります。
- 文の核 (SVO) を見つける: まず、その文の「誰が/何が」「何をした/どうだった」という中心部分を見つけましょう。複雑な修飾語句に惑わされないように。
- 修飾語句が何を説明しているか把握する: 長い前置詞句や分詞句、関係詞節などが、どの名詞を修飾しているのか、その関係性を正確に捉えることが大切です。
- 名詞化された表現を動詞的に解釈する: "The analysis of the data" とあれば、「誰かがデータを分析した」という動詞的な意味を頭の中で復元してみる。
- 受動態を能動態に置き換えてみる: "It is said that..." とあれば、「People say that...」と能動態ならどうなるかを考えてみることで、意味が明確になることがあります。
- 接続詞や接続副詞の論理関係を追う: 文と文、段落と段落がどのような論理(原因結果、対比、追加など)で結ばれているのかを意識する。
私たちの学習サイトでは、文法構造に集中するためにシンプルな単語を使っていますが、実際のC2レベルの文章では、これらの特徴がより高度な語彙と共に現れます。日頃から様々な種類の英文に触れ、特にフォーマルな文章の構造に慣れていくことが大切ですね。
文語表現・硬い表現、いかがでしたか? これらの特徴を理解することで、難しい英文にも臆することなく立ち向かえるようになりますし、また、皆さん自身がフォーマルな文章を書く際の表現の選択肢も広がります。