Lesson 68: C1レベルの重要構文ピックアップ (1) - (形式主語・形式目的語 It, 同格のthat節)
Lesson 68 です!倒置や強調といった、文に彩りを与えるテクニックを学びましたね。 ここからは、C1-C2レベルの英語を読み書きする上で特に重要となる構文をいくつかピックアップして、集中的に見ていきます。 今回は、「形式主語の It」「形式目的語の It」、そして「同格の that節」です。これらは文をスッキリさせたり、情報を明確に伝えたりするのに役立ちます。
1. 形式主語の It (Dummy Subject / Expletive It)
不定詞句 (to do ...) や that節 (that S V ...) など、長い句や節が文の主語になると、文頭が重くなり、分かりにくくなることがあります。 このような場合、まず「It」を仮の主語(形式主語)として文頭に置き、本当の主語(真主語)を文の後ろに回すという構文がよく使われます。
例:「私がそれを取ることは重要だ。」
- 真主語が不定詞句の場合: To take it is important. → It is important to take it.
- 真主語がthat節の場合: That I take it is important. → It is important that I take it.
It is important to take it. (それを取ることは重要だ。)
It is clear that I take it. (私がそれを取るということは明らかだ。) (clear: 明らかな ※形容詞)
この「It」は具体的な何かを指しているわけではなく、単に文の形を整えるためのものです。
2. 形式目的語の It (Dummy Object)
形式主語と考え方は似ていますが、こちらは長い不定詞句やthat節が動詞の「目的語」になる場合に、まず「It」を仮の目的語(形式目的語)として置き、本当の目的語(真目的語)を後ろに回す形です。 特に、「make」「find」「think」「consider」「believe」などの動詞がSVOCの形を取るときによく使われます。 (S V it C [真目的語])
例:「私は、それを取ることが私のルールだと考えている。」 動詞「consider (~だと考える、見なす)」を使ってみましょう。
I consider it my rule to take it. (my rule: 私のルール ※名詞)
分解: I (S) consider (V) it (形式目的語 O) my rule (C) to take it (真目的語). 「私は、それを取ることを私のルールだと考えている。」 もし形式目的語を使わないと、「I consider to take it my rule.」となり、少し分かりにくいですね。
3. 同格の that節 (Appositive that-clause)
「同格のthat節」は、前の名詞(特に a fact, a rumor, an idea, a hope, a belief, news など抽象的な内容を表す名詞)の内容を具体的に説明する働きをします。「~という事実」「~という考え」のように訳せます。 関係代名詞のthat節と形が似ていますが、同格のthat節は完全な文が続き、thatを省略できないのが一般的です。また、thatが先行詞の代わりをするわけではありません。
例:「私がそれを取るべきだという考え」 名詞「the idea (その考え)」に同格のthat節を繋げます。
I have the idea that I should take it.
「私には、私がそれを取るべきだという考えがある。」
「that I should take it」が「the idea」の内容を具体的に説明しています。「the idea = I should take it」という関係ですね。
✨ ミラクル先生のちょっと一言:形式主語/目的語と「It」の色々な顔 ✨
「It」は英語で本当に色々な働きをする単語ですね。今回の形式主語・形式目的語の「It」は、具体的な何かを指さず、文の構造を整えるためだけに使われるのが特徴です。「虚辞(きょじ)」とも呼ばれます。
これまでに学んだ「It」の主な使い方を整理してみましょう。
- 人称代名詞の It: (前に出てきた単数形の)物や動物、状況などを指す。「それ」
例: I see it. - 天候・時間・距離・明暗などを表す It: 主語が特にない場合に使う非人称のIt。「状況のIt」とも。
例: It is raining. / It is ten o'clock. - 形式主語の It: 長い不定詞句やthat節の代わりに仮に置かれる主語。
例: It is fun to play tennis. - 形式目的語の It: 長い不定詞句やthat節の代わりに仮に置かれる目的語。
例: I find it difficult to understand the rule. - 強調構文の It: 「It is ~ that ...」の形で特定の語句を強調する。
例: It is you that I want to see.
文脈の中で、その「It」がどの役割を果たしているのかを見抜くことが大切です。
同格のthat節と関係代名詞that節の見分け方:
- 同格のthat節: that以下は完全な文。「先行詞 = that節の内容」という関係。thatは省略不可。
例: the news that I passed the exam (私が試験に合格したという知らせ) - 関係代名詞that節: that以下は不完全な文(主語か目的語が欠けている)。thatが先行詞を指し、その代わりをしている。thatは目的格なら省略可能。
例: the news that I heard yesterday (私が昨日聞いた知らせ) ← I heard ( ) yesterday の目的語がthat
この区別も、正確な読解には欠かせませんね!
形式主語・形式目的語の「It」、そして同格の「that節」。 これらを使いこなして、より明瞭で洗練された英文を目指しましょう!