Lesson 58: 無生物主語構文への挑戦 - (The rule takes it.)
Lesson 58 です!省略や共通関係といった、洗練された文を作るための原則を学びましたね。 今回からは、C1-C2レベルの英語で頻繁に使われる、より英語らしい表現に挑戦していきます。まずは「無生物主語構文(むせいぶつしゅごこうぶん)」です。 これは、人ではない「物」や「事柄(ことがら)」が主語になる構文で、日本語の発想とは少し異なるため、慣れが必要です。
無生物主語構文ってなあに?
無生物主語構文では、本来であれば副詞句(~のために、~のせいで、~によって、など)で表現されるような内容が、文の主語になります。 これにより、文が簡潔になったり、客観的な視点を示したりすることができます。
私たちの基本ルール「主語は基本一人称」から、ここでは一時的に逸脱します。主語に「the rule (その規則)」のような無生物の名詞を置いてみましょう。動詞は引き続き「take」を使います。 「その規則がそれを取る」という直訳では少し不自然ですが、これが英語では「その規則のせいで(あるいは、その規則に従うと)私はそれを取る」といった意味合いになることがあります。
例文を見てみよう: The rule takes it from me.
「その規則が私からそれを奪い取る」というような、少し擬人化されたイメージの文で考えてみましょう。 直訳すると「その規則がそれを取る」ですが、文脈によっては「その規則のせいで、私はそれを手放さなければならない」といったニュアンスを含みます。 ここでは、より自然な英語にするために、誰から取るのかを示す「from me(私から)」を加えてみます。
- 主語(S)は無生物「The rule (その規則)」
- 動詞(V)は「takes (取る)」 (主語が三人称単数なので -s がつきます)
- 目的語(O)は「it (それ)」
- 副詞句「from me (私から)」
The rule takes it from me.
直訳:「その規則が私からそれを取る。」
意訳:「その規則のせいで、私はそれを取られる(手放すことになる)。」
もう一つ、より一般的な無生物主語の例を挙げましょう。 例えば、「The news made me happy. (その知らせは私を幸せにした。)」 この文の主語は「The news (その知らせ)」という無生物ですね。「知らせが何かをした」という考え方です。 これを「私はその知らせを聞いて幸せになった」と意訳するように、無生物主語構文は日本語に訳す際に工夫が必要です。
✨ ミラクル先生のちょっと一言:無生物主語を日本語らしくするには? ✨
無生物主語構文は、英語では非常に自然でよく使われる表現ですが、日本語に直訳すると不自然になりがちです。自然な日本語にするには、主語を副詞的に訳したり、人を主語にした文に変換したりする工夫が必要です。
例:
- The heavy rain prevented me from going out.
直訳:激しい雨が私を外出するのを妨げた。
意訳:激しい雨のせいで、私は外出できなかった。 - This road will take you to the station.
直訳:この道があなたを駅へ連れて行くだろう。
意訳:この道を行けば、あなたは駅に着くでしょう。 / この道を行けば駅です。 - The clock says ten.
直訳:その時計は10時と言っている。
意訳:時計は10時を指している。/ 時計によると10時だ。
このように、無生物主語を「~のせいで」「~のおかげで」「~によれば」「~すると」のように副詞的に解釈したり、文全体の意味を汲み取って人を主語にした表現に意訳したりするのがコツです。
私たちの例文「The rule takes it from me.」も、「規則によって、私はそれを取られる」というように、意味を捉えることが大切ですね。
無生物主語構文、最初は戸惑うかもしれませんが、英語の論理的な思考に触れる良い機会です。 たくさんの例に触れて、この感覚に慣れていきましょう!