第4章 ジェットコースター?ビットコイン価格の歴史
4-1. 最初はタダ同然だった!? ~黎明期から1ドルへ~ (~2011年頃)
2009年1月、サトシ・ナカモトによってビットコインが誕生した! でもね、生まれたばかりのビットコインに、今みたいに「1ビットコイン=1000万円!」なんていう「価格」は、もちろん存在しなかったんだ。
じゃあ、最初はタダだったの? それとも何か価値があったの? ビットコインが「価値」を持つようになるまでの、本当に最初の物語を見てみよう。
「価値」ってなんだろう? ~ビットコイン、最初のささやき~
2009年から2010年の初め頃まで、ビットコインは主に、暗号技術に詳しいごく一部の人たちや、新しいもの好きの技術者たちの間で、実験的にやり取りされるだけだった。
「こんな面白い仕組みがあるよ!」「ちょっと送ってみるね!」くらいの感じで、お金としての価値はほとんど意識されていなかった。取引所なんてものも、まだ世界にほとんど存在していなかったんだ。
でも、そんな中でも「これって、ひょっとしたら価値があるんじゃない?」と考える人たちが少しずつ現れ始めた。例えば、2009年10月には、「New Liberty Standard」というウェブサイトが、ビットコインをマイニング(採掘)するのにかかる電気代などを元にして、初めてビットコインの「価格」を提示したんだ。その時の計算だと、なんと1ドルで約1309ビットコインが買える、というものだった。つまり、1ビットコインは、日本円にしたら0.1円よりもずっと安いくらいの価値! まさにタダ同然だね。
🍕歴史的瞬間!「ビットコイン・ピザ・デー」(2010年5月22日)
そんな中、ビットコインの歴史を語る上で絶対に外せない、超有名な出来事が起こるんだ。
2010年5月22日、アメリカ・フロリダ州に住むプログラマーのラズロ・ハニエツさんという人が、インターネットの掲示板でこう呼びかけた。「ピザ2枚を、1万ビットコインで買ってくれる人はいないかい?」
そして、イギリスに住む別の人がこの呼びかけに応じて、ラズロさんの代わりにピザ屋さん(パパ・ジョンズ・ピザだったらしいよ)にクレジットカードで代金を支払い、ラズロさんはその人に1万ビットコインを送ったんだ。このピザ2枚の値段は、だいたい41ドルくらいだったと言われているよ。
これが、ビットコインが初めて現実世界の商品と交換された、記録に残る最初の事例として、世界中に知られることになったんだ。この時のレートで計算すると、1ビットコインの価値は、だいたい0.0041ドル。日本円にしたら、0.4円くらいかな?
この5月22日は、今でも「ビットコイン・ピザ・デー」として、世界中のビットコインファンたちがお祝いしている、記念すべき日なんだよ。だって、この出来事が「ビットコインには、何かと交換できる具体的な価値があるんだ!」ということを、初めてハッキリと示した瞬間だったからね。
↑ ピザとビットコインが交換された歴史的瞬間!
1セント、そして「1ビットコイン=1ドル」の達成へ!
ピザの取引の後も、ビットコインの価値はまだまだすごく低かった。でも、少しずつ変化が訪れる。
2010年7月、後に大きな事件の舞台となる日本の「マウントゴックス」が、ビットコインの取引サービスを開始した。こうして、ビットコインを売りたい人と買いたい人が集まる「取引所」という場所ができたことで、ビットコインに少しずつ「市場価格」というものが形成され始めたんだ。
取引が始まって間もない2010年7月頃、マウントゴックスでの1ビットコインの価格は、だいたい0.08ドル(日本円で8円くらい)だったと言われている。ピザの時よりは上がったけど、まだまだ安いね。
そして、ビットコインの歴史における最初の大きなマイルストーン(節目)が訪れる。
2011年2月9日、ついに
1ビットコイン = 1アメリカドル
を達成したんだ!
この「1BTC = $1」というニュースは、Slashdot(スラッシュドット)のような海外の有名な技術系ニュースサイトでも取り上げられて、一部のアーリーアダプター(新しい技術やサービスを誰よりも早く試す人たち)の間で、「ビットコインって、ひょっとすると本当に未来の通貨になるかもしれないぞ?」という期待感を高める、小さな、でも重要なきっかけになったんだ。
この頃の主な出来事としては、ビットコインのプログラムを開発するコミュニティの活動が少しずつ活発になってきたり、残念ながら「シルクロード」というインターネットの闇市場(違法なものが売買される場所)でビットコインが決済手段として使われ始めてしまったり、といったこともあった。光と影の両面を抱えながら、ビットコインは少しずつ世の中にその存在を知られ始めていくんだ。
黎明期の価格って、何で動いていたの?
この頃のビットコインの価格は、まだ参加している人がものすごく少なかったから、本当にちょっとしたことで動いたんだ。
- メディアでの紹介: 小さなニュースサイトで取り上げられるだけでも、価格がピョコンと上がったりした。
- 技術的なニュース: ビットコインのソフトウェアがバージョンアップした、なんていうニュースも影響したかもしれない。
- ごく限られた人たちの間の需要と供給: まだ「投資」というよりは、「実験」とか「好奇心」で売買する人がほとんどだった。
つまり、この時期の価格は、まだしっかりとした根拠があるというよりは、人々の「期待感」や「話題性」でフワフワと動いていた、そんな感じだったんだね。
黎明期のビットコイン価格イメージ (~1ドル達成)
(注: これは実際の正確なチャートではなく、あくまでイメージです。この時期の正確な価格データは断片的です。)
まとめ: 価値ゼロからの第一歩
ビットコインは、サトシ・ナカモトの論文と最初のソフトウェアから始まり、最初は開発者たちの間で実験的に使われる、ほぼ無価値なデジタルデータだった。
でも、ピザとの交換という歴史的な出来事を経て、「モノと交換できる価値がある」と認識され始め、取引所の登場によって少しずつ価格が形成されていった。そして、ついに「1ビットコイン=1ドル」という、小さな、しかし非常に大きな意味を持つ一歩を踏み出したんだ。
でも、これはまだビットコインの長い価格の歴史の、ほんの序章に過ぎなかった。
次のページでは、ビットコインが初めて世間から大きな注目を浴び、最初の「バブル」とも言えるような急激な価格上昇を見せた時代、そしてそこに関わったある国の金融危機について見ていくよ!
Mamechishiki: How were early Bitcoin prices determined without major exchanges? (Click to see translation and listen)
In the very early days of Bitcoin (2009-2010), before established exchanges like Mt. Gox gained traction, Bitcoin "prices" were often informally determined. Some early adopters, like "New Liberty Standard," attempted to calculate a value based on the electricity cost of mining. Others engaged in direct peer-to-peer trades on forums like Bitcointalk, where prices were negotiated. The famous pizza transaction was one such negotiated peer-to-peer exchange. It was a very illiquid and experimental phase for Bitcoin's valuation.
意訳: ビットコインの極初期(2009年~2010年)、マウントゴックスのような確立された取引所が勢いを増す前は、ビットコインの「価格」はしばしば非公式に決定されていました。「New Liberty Standard」のような一部の初期採用者は、マイニングにかかる電気代に基づいて価値を計算しようとしました。また、Bitcointalkのようなフォーラムで個人間の直接取引が行われ、そこでは価格が交渉されていました。有名なピザの取引も、そうした交渉による個人間交換の一つです。これはビットコインの価値評価にとって、非常に流動性が低く実験的な段階でした。
このページのまとめ (Summary, Resumen, 摘要)
Summary: In its earliest days (2009-early 2010), Bitcoin had negligible to no established monetary value, primarily being an experiment among cryptographers. The first known "price" was based on mining electricity costs (e.g., ~$0.00076 per BTC by New Liberty Standard in Oct 2009). The landmark "Bitcoin Pizza Day"transaction in May 2010, where 10,000 BTC were exchanged for two pizzas (approx. $41), valued 1 BTC around $0.004. With the emergence of exchanges like Mt. Gox in mid-2010, a more formal market price began to develop, and by February 2011, Bitcoin reached parity with the US dollar (1 BTC = $1 USD), marking its first significant milestone in valuation.
Resumen: En sus inicios (2009-principios de 2010), Bitcoin tenía un valor monetario insignificante o nulo, siendo principalmente un experimento entre criptógrafos. El primer "precio" conocido se basó en los costos de electricidad de la minería (por ejemplo, ~$0.00076 por BTC según New Liberty Standard en octubre de 2009). La histórica transacción del "Día de la Pizza Bitcoin" en mayo de 2010, donde se intercambiaron 10,000 BTC por dos pizzas (aproximadamente $41), valoró 1 BTC en alrededor de $0.004. Con la aparición de casas de cambio como Mt. Gox a mediados de 2010, comenzó a desarrollarse un precio de mercado más formal, y para febrero de 2011, Bitcoin alcanzó la paridad con el dólar estadounidense (1 BTC = $1 USD), marcando su primer hito significativo en valoración.
摘要: 在其早期(2009年至2010年初),比特币几乎没有或根本没有既定的货币价值,主要是在密码学家之间进行的实验。第一个已知的“价格”是基于挖矿的电力成本(例如,新自由标准组织在2009年10月提出的每BTC约0.00076美元)。2010年5月具有里程碑意义的“比特币披萨日”交易中,10,000比特币被用来购买两个披萨(约41美元),当时1比特币的价值约为0.004美元。随着像Mt. Gox这样的交易所在2010年中期的出现,一个更正式的市场价格开始形成,到2011年2月,比特币与美元达到平价(1 BTC = 1美元),这标志着其估值史上的第一个重要里程碑。
日本語の要約: ビットコインの最初期(2009年~2010年初頭)、確立された金銭的価値はほとんどなく、主に暗号技術者の間で実験的に扱われていました。最初の「価格」はマイニングの電気代に基づき(例:2009年10月、New Liberty Standardにより1BTC約0.00076ドル)、2010年5月の「ビットコイン・ピザ・デー」では1万BTCがピザ2枚(約41ドル)と交換され、1BTC約0.004ドルと評価されました。2010年半ばにマウントゴックスのような取引所が登場すると市場価格が形成され始め、2011年2月には1BTC=1米ドルに達し、価値評価における最初の重要な節目となりました。